前向きな反省を積み重ねたことで「方向性は間違っていない」
現役時代は現ENEOSサンフラワーズに所属し、何度も頂点に立ってきた。日本代表としてもアトランタオリンピックで7位入賞、アメリカに冷や汗をかかせた。指導者になってからも、早稲田大学で日本一に輝き、世代別日本代表では常に世界を相手に結果を残してきた。「こんなに負けるのは現役時代を含めてはじめて…」と吐露する萩原ヘッドコーチにとっては苦い経験となった。「シーズン序盤から上位チームと当たっているときはずっと勝てず、自分の力のなさを痛感しました。本当に、途中で心が折れそうにもなりました」と指揮官は悩み、時には選手とひざをつき合わせ、答えを探し続ける。戦績での結果は得られなかったが、その作業によってチームの殻が破られはじめていることを鷹のはしも実感する。
「何もできないまま負けてしまえば、チームにとって何も残りません。今シーズンは自分たちが目指すバスケに対し、遂行できていない時間帯があったからこそ勝てませんでした。でも、『その中でもできていることも多くあったよね』という前向きな、次につながる反省が多かったです。負けが続き、気持ちが落ちるときもありました。それでもプレーオフ進出という目標に向かって、みんなで踏ん張ってがんばっていたときに、デンソー(アイリス)戦(1月2日○79-74)で1勝を挙げられたことがチームにとっては大きな分岐点になりました。苦しかった中で、あの1勝を得られたことが本当に良かったですし、目指す方向性は間違っていないと感じられました」
終わったばかりだが、鷹のはし自身は「自分がチームを引っ張って行くという気持ちを忘れずに、常にコートに出て相手にとって恐い存在になれるようにステップアップしてがんばりたいです」と抱負を述べる。チームとしても、「大きいセンターがいない分、起動力を生かさなければいけないです。フリースローをもっともらうプレーなどを増やしていかなければ、上位チームとの対戦では苦しくなってしまいます。ゴールにアタックする力をつけ、それとともにアウトサイドシュートの確率をもっと精度を上げる力を磨いていきたいです」と続け、すでに来シーズンを見据えていた。手応えを感じられたからこそ、ウズウズしているようだ。
最終戦を終え、一通り記者からの質問を終えた萩原ヘッドコーチもまた、「幸か不幸か早めに終えるので、反省点をしっかり修正して次のシーズンの準備をはじめたいです」と切り替え、巻き返すための新たなチャレンジへ向かっていく。
文・写真 泉誠一