「主力が不在のときがきっかけとなり、バックアップメンバーがしっかりゴールにアタックしたり、積極的にディフェンスからブレイクを出したり、練習中から積み重ねてきています。それが自然とゲームに出せるようになってきました」
東京オリンピックへ向けて、女子日本代表入りを争っていた谷村だが、残念ながら落選。しかし、下を向くことなくすぐさま自らを見つめ直し、3ポイントシュートのステップやリリースの速度を変え、内海ヘッドコーチの助言を受けながらマイナーチェンジを図ったことで女子日本代表に返り咲く。富士通レッドウェーブから移籍してきた村山も、2年目の今シーズンはプレータイムが延び、信頼を勝ち取っている。
「あれもこれもやろうとか、やらなければいけないとこれまでは思いすぎていました。しかし今は、例えばリバウンドひとつに絞るなど内海さんや他のコーチにも言ってもらえたことで、役割を絞って全うできています。チームに対する仕事がしっかりできれば、プレータイムは自ずと伸びてくることは実感できています」
山梨を50点台に抑えたディフェンスは、「チームが目指すべきことは表現できていました」と自信が芽生えていた。
良い部分を拾い集めながら、次へつなげていくことが大事
山梨戦では、ユニフォームを着てベンチに座っていた佐藤の復帰もまもなくである。今週末(3月19日・20日@代々木第二体育館)、延期となった東京羽田ヴィッキーズとの2試合を残すのみ。勝つこともさることながら、まずは試合を成立させ、勝ち点を積み上げることが重要である。
発熱者が出てしまえば突然試合がなくなってしまう。日立ハイテクvs山梨戦のあと、ENEOSサンフラワーズvsデンソー アイリスの2戦目が行われる予定だったが急きょ中止となった。「コロナになるなと言っても、こればかりはいくら気をつけてもなってしまうし、しょうがないことである」と内海ヘッドコーチが言うとおり、細心の注意を払っても防ぎきれない状況だ。その中でも、「我々は次の試合が必ずあると思って準備だけは怠らないようにするだけ」と続け、レギュラーシーズンラストゲームに備える。
昨シーズンは日立ハイテクもコロナ感染により、終盤に失速してしまった。プレーオフセミクォーターファイナルではトヨタ紡織サンシャインラビッツを相手に、「自分たちのバスケットが全くできないまま40分間が終わってしまいました」と村山が言うように、44-67で敗退。試合へ向けた準備を行うとともに、残る2戦で少しでもレベルアップし、昨年の悔しさを晴らさねばならない。
「準備してきたものを表現することが、結果につながっていくと思っています。40分の戦いの中で、今日のようにうまく行かない時間帯があっても、その中でできた部分を拾い集めながら、次へ次へとつなげていくことが大切です。そのためにも、練習の中から積み上げて行き、プレーオフがもし決まれば、その成果を出していけるようにしたいです」(村山)
文 泉誠一
写真 W LEAGUE