家族のようなチームワーク
シャンソンのチームワークの良さは、ベンチを見れば一目瞭然である。ベンチからの声がけもみんなが同じ方向を向いており、徹底されている。チームとしてやるべきことを遂行できれば、昨年11月6日にENEOSサンフラワーズから今シーズン初勝利を飾ったような力を発揮できる。家族のようなチームワークがシャンソンの大きな武器であり、「思っていることを伝えるだけでも、相手の捉え方が変わるのかなと思っています。まずは自分が感じていることを、相手にも伝えなくてはいけないという部分は意識しています」という𠮷田も積極的に声をかけていた。
このコミュニケーション文化を築いてくれたのが、今シーズンより移籍してきた藤岡麻菜美と大沼美琴である。「プレーでも声がけでも、ベテランの二人ががんばっているからこそ、自分はもっとがんばらないといけないということを毎日感じさせてもらっています」と𠮷田は感謝し、プレーだけではなく選手としても大きく成長している。パレイのりこと橋口樹をアーリーエントリーで迎え、「去年は自分がその立場だったので、彼女たちの気持ちが分かる」と率先して声をかけ、彼女たちの不安を少しでも取り除く役目も買って出ている。
現在7勝9敗で7位につけるシャンソンは、かろうじてプレーオフ圏内にいる。レギュラーシーズンは残り8試合。上位チームとの対戦を終え、今後は現順位で同等または下位にいるチームとの対戦が続く。昨シーズンは1試合しか経験できなかったプレーオフにふたたび立ち、そしてさらに先へ進むことが目標となる。ルーキーではあるが、先発で起用されている𠮷田の双肩にかかる期待は大きい。「プレッシャーがないと言えばウソになるし、悩むことも多いです」というのが本音である。
「毎日いろんなことを感じていますが、それでも戦っていかなければいけないのがこの世界だと思っています。それを分かってこのコートに立っています。もう覚悟を決めて試合に臨んでいますし、もちろん結果にこだわって戦っています」
文・写真 泉誠一