「あれ?」と思って見ていた12月の皇后杯ファイナルラウンド。デンソーアイリスの本川紗奈生のプレーに、ポジティブな変化が感じられた。新年一発目の東京羽田ヴィッキーズ戦では、チームハイとなる16点で勝利に貢献している。
クリスマスゲームの三菱電機コアラーズ戦から髙田真希を温存していたからこそ、「絶対に勝たなければならないという気持ちがありました」。3連勝したが、東京羽田戦の勝利は綱渡りだった。
「どうしてもディフェンスの部分で、アグレッシブにやるのもそうですが、全員が機能しなければできないディフェンスです。だから、一つでも誰かの意識が抜けたり、欠けてしまったりすると、このようなゲーム展開になってしまいます。マリーナ(マルコヴィッチ ヘッドコーチ)のディフェンスは0か100だから、一人でも遂行できていなければ簡単にやられてしまいます。そこが徹底できていないとダメ。オフェンスリバウンドも全然取れていない。リバウンドこそ、リツさん(※髙田のコートネーム)がいないときにどれだけガマンして、そこを獲りきれるかが一番大事なところだったのに…。その部分を大切にしないと上位チームと当たったときに、チームの弱さをあらためて感じることになってしまいます」
翌日、不安視された部分が露呈するように74-79で敗れ、今シーズン初黒星を喫した。
悲願の初優勝を目指すデンソーに、そのチャンスが訪れた皇后杯。Wリーグ全勝対決となった富士通レッドウェーブとの準決勝は、70-53で圧倒した。しかし決勝戦は、ENEOSサンフラワーズの壁にまたもや阻まれ、62-86で敗れている。
「準々決勝の日立ハイテク(クーガーズ)戦から富士通戦は、本当にチーム一丸となって戦うことができたと感じていました。でも、ENEOS戦は、イージーミスが目立ってしまいました。そこをクリアできれば、もっともっと点差を詰めることもできたとは思いますが、自分たちで負けに行ってしまった試合でした。そこが今の弱い部分です。どのチームであろうと、隙を見せてしまうとこのようなゲームになってしまいます」
シャンソン化粧品シャンソンVマジックからデンソーに移籍し、マリーナヘッドコーチの下で2年目を迎えた。皇后杯決勝こそ9点に終わったが、準決勝の富士通戦では18点、再開したWリーグでの三菱電機戦も17点、16点と二桁が続く。「得点を意識しているわけではない」と本川が言うように、それ以外でも余裕を持ってプレーできている姿を見て「あれ?」と感じた。そのきっかけとなった「なんか吹っ切れたというか…」という心境をたっぷりと語ってくれた。