長い目で見ながら成長してければよい
謹賀新年。正月4日間、Wリーグが代々木第二体育館で開催されている。昨年10月22日の今シーズン開幕時、東京羽田ヴィッキーズの萩原美樹子ヘッドコーチは、「年明けくらいに100%で戻ってきてくれれば良い」と本橋菜子の足の状況について言及した。先発復帰の期待を込めて、足を運んだ2022年の初戦となった元日のデンソーアイリス戦。しかし、今なおベンチスタートが続いている。
現状を聞けば、「今はあまり調子が良くない。いろいろ調整して、試合に出られるくらいになった程度」と本橋は言い、練習も全ては参加できていないそうだ。大ケガに見舞われてから、8ヶ月で東京オリンピックのコートに立ったことが奇跡と言える。萩原ヘッドコーチも、「リハビリではかなり無理をした。オリンピックから戻ってきて、もう一度リハビリに取り組んでいたほど。本人も努力してくれたことで開幕には間に合ったが、まだ本調子ではない」という状況から、15分程度とはいえコートに立ち続けている。これもまた、奇跡なのかもしれない。無理することなく、完全復活を祈るだけである。
東京羽田は1勝11敗(2021年)と、その戦績は芳しくない。しかし、試合内容を見れば、悲観することなく期待が持てる。ベンチで見守る時間が長い本橋も、「目指すべきバスケットを少しずつやろうとはしていますが、それが遂行できている時間帯がまだ短いです」と言うように、新体制は時間がかかるものである。デンソーとの初戦、前半は37-33と東京羽田がリードしていた。しかし第3クォーター、フルコートディフェンスからギアを上げたデンソーが27点を挙げ、53-60と逆転されてしまう。
「今までであれば、そこからずるずると引きずってしまっていました。でも今日は、離されそうになった時間帯も、エネルギー切れせずにもう一回踏ん張って、詰めることができていました。このような経験を積み重ねていき、40分間自分たちのバスケットを信じて貫き通せるようになれば、もっともっとよくなると思っています」
第4クォーター、諦めることなく食らいつき、3点差まで追い上げる。その時間帯は、本橋もコートに立っていた。しかし、プレータイムを制限されており、あと一歩の場面で交代を告げられる。「チームが苦しいときに、もう少しコートに立って踏ん張れれば良いのですが…」というもどかしさもある。だが、今シーズンの東京羽田は、「チームメイト全員がタイムシェアをしています。コートに立っている選手がもっともっと思いっきりプレーしながら経験を積み重ねて、シーズン終盤や来シーズンにつながっていけば良いかな。長い目で見ながら成長していければよいと思っています」と本橋は話すとおり、自らの完全復活とともに、チームも上向いていけば良い。