三菱電機コアラーズの開幕戦は、トヨタ紡織サンシャインラビッツに2連敗した。しかし、その後は4連勝を挙げ、11月7日現在Wリーグ5位。100点ゲームで勝利した新潟アルビレックスBBラビッツの初戦こそ57失点だったが、その後の3戦はいずれも50点以内に抑えるディフェンス力で連勝を伸ばしている。古賀京子ヘッドコーチは「オフェンスに頭が行きがちですが、チームとして合わせていくためには緻密な練習が必要になってきます。では、何を一番の持ち味をしているかと言えば、みんなの共通認識としてディフェンスというのは分かっていることです」と自信を持って戦えている。
直近のアランマーレ秋田との初戦、「相手のディフェンスの当たりが強くて、自分たちのバスケットが少しできず、それによってペースが取れなかった」と古賀ヘッドコーチが言うように、第1クォーターは14-10と拮抗していた。続く第2クォーター、篠宮杏奈、佐賀藍葉、藤田和らベンチメンバーが流れを呼び込む。「オフシーズンから若手選手に対し、練習とは別にスキルアップさせてきたので、信頼してコートに送り出すことができています。しつこくディフェンスをがんばってくれました」と古賀ヘッドコーチが評価し、31-18と点差を開いていった。デンソーアイリスから移籍してきた笠置晴菜が先発ポイントガードだったが、アランマーレ秋田戦の後半は好調な藤田をそのまま起用し、70-47で快勝した。
根本葉瑠乃と西岡里紗のアジアカップ5連覇メンバーの2人がそれぞれ15点を挙げる活躍を見せる。前半は3ポイントシュートにこだわってしまい、なかなか得点を挙げられなかった根本だが、「後半はそこにこだわらず、相手のディフェンスが結構タイトについてきていたので、それを逆にいなしてジャンプシュートなどに切り替えれば良いと思いました」と機転を利かし、勝利に貢献した。
翌日も67-44でアランマーレ秋田に勝利し、ディフェンス力を表すとおり失点は少ない。その一方で、オフェンスがまだまだ噛み合っていないもどかしさを感じた。そのまま古賀ヘッドコーチに問えば、うなずきながら現状をこう明かす。
「ある意味で、今年がはじめてとなるイメージです。ガード陣がニューフェイスになり、三菱電機というチームをどうまとめていけば良いか、頭脳の方ではまだまだ経験が足りていません。経験を積ませながら、どういうときにどういうプレーをし、どういう流れで誰をどう使うかという知識を埋めていかなければならない。時間はかかると思っていますし、そこは想定内です」
メンバーが大きく変わらない強みがある。しかし、川井麻衣がトヨタ自動車アンテロープスへ移籍し、ポイントガードが変わることはチームにとって大きなリスクでもあった。「この試合を振り返ると、相手のプッシュディフェンスに対してガード陣がどう発信し、それに対してまわりがどう手足を動かすようになるかという部分でまとめ切れていなかったです」という古賀ヘッドコーチが、細かく指示を出せば修正できた。だが、求めているのは、コート内で選手同士が合わせていくチームプレーである。