カギを握るルーキーとベテランの融合
プレーオフに滑り込んだ昨シーズンだったが、セミクォーターファイナルで三菱電機コアラーズに70-73で敗れ、7位タイに終わった。昨年10月までの前半戦を終えた時点では、4勝6敗。その後、リーグ中断とともにコロナ禍によって中止となった試合もあり、年明け2月まで試合が行われなかった。再開後の6試合は3勝3敗の5割で切り抜け、2月27日のENEOSサンフラワーズ戦では81-69と金星を挙げている。躍進のカギとなったのは、アーリーエントリーで迎えた𠮷田舞衣と佐藤由璃果だ。
デビュー戦となった2月13日の富士通レッドウェーブ戦でいきなり先発起用され、ともに14点と二桁得点をマーク。プレーオフを含めた7試合に出場し、𠮷田は平均14.6点、佐藤も8.3点・5.7リバウンドとしっかりスタッツを残している。大塚羽未と金田愛奈も同じく経験を積み、ルーキーとはいえ立派な戦力として今シーズンを迎える。
アーリーエントリーから数えて3シーズン目、昨シーズンから先発で活躍した水野妃奈乃と野口さくらも頼もしい存在となった。若い選手が台頭し、先に挙げた「もっともっとおもしろいバスケになるのではないか」というキャプテンの言葉も説得力があり、楽しみである。
シャンソンの副キャプテンは、千葉英和高校アシスタントコーチのまま、デュアルキャリアとしてWリーグ復帰を果たした藤岡麻菜美だ。オータムカップではシックスマンとして出場し、チームの流れを変える活躍を見せた。また、肩の力が抜けたことで、これまで以上に楽しそうにプレーしているのが印象的だった。「コンディションは6〜7割程度」であるとともに、試合勘が戻りきっておらず「やっぱり少し全盛期よりも落ちていると感じました」という藤岡だが、開幕までには万全な状態に仕上げてくるはずだ。
勝ちきれない試合が続いたオータムカップでは、「徹底力の甘さ、あと1本守ろうというところでコミュニケーションミスが起き、チームで決めていたルールが変わってしまったところがあったので、そこは詰めていきたいです」という藤岡は、自らが経験してきた全てを注入する。同い年であり、ともにENEOSではチームメイトだった大沼美琴らとともに、ベテランと若手が融合させながら新生シャンソンがスタートした。
開幕戦は10月16日に大垣市総合体育館(岐阜県)にて、昨シーズンのプレーオフで敗れた三菱電機と対戦。チームの変化や成長を測るには最高の相手である。
文 泉誠一
写真提供 W LEAGUE