「トヨタ紡織の全員バスケに注目して欲しいです」東藤なな子
女子日本代表を率いたトム・ホーバスヘッドコーチの右腕として、オリンピックでの活躍を支えた知花武彦ヘッドコーチが新たに就任し、心機一転したトヨタ紡織。「小さいので、ディフェンスから走ることを常に目標としています。良いディフェンスから自分たちの流れをつかむために走っていきたいです」というのはキャプテンの坂本美樹だ。女子日本代表同様、トランジション速くコートを走り回り、準決勝は79-64でデンソーアイリスを下し、日立ハイテク クーガーズとの決勝戦は逆転で勝利をつかんだ。
その決勝戦、74-74で迎えた残り20秒。敵陣からボールを運び、オリンピアンの東藤なな子にラストプレーを託す。他の4人が逆サイドに動いてスペースを作り、アイソレーションから決勝点を決めた。「今日(決勝)は思うようにプレーできなくて、後半の大事な場面でもドライブに行けなかったです。でも、最後に任せられたので、責任を持って決め切ろうと思って行きました」という東藤だが、準決勝に続いて決勝でも19点をマークし、チームを勝利へと導いた。
新体制となったはじめて試合を披露し、「春先から力を注いできたディフェンスの部分で手応えを感じることはできましたが、まだまだできる部分はあると思っています」と話す加藤優希、さらに白慶花がオフェンスでは3試合とも2桁得点を挙げる活躍を見せた。昨シーズンの新人王である平末明日香の爆発力が加わり、優勝戦線に絡んで来ることに期待したい。
ディフェンスをベースに強化を進めるトヨタ紡織であり、オリンピックではその役割に徹したのは東藤だった。「オリンピックを見てバスケに興味を持たれた方やファンになってくれた方にとっては、ディフェンスという印象が強いと思います。そこだけではなくオフェンスもそうですし、トヨタ紡織の全員バスケに注目して欲しいです」とアピールし、持ち前のドライブと発展途上の3ポイントシュートにも磨きをかける。
コンディションやチーム力が揃わない中でのオータムカップであり、10月12日(火)への開幕へ向けてまだまだレベルアップできる。今大会には出場できなかったが、渡嘉敷来夢の復帰に期待高まるENEOSサンフラワーズ、そして4人(篠崎澪、町田瑠唯、宮澤夕貴、オコエ桃仁花 )のオリンピアンを擁する富士通レッドウェーブの試合を見る日が待ち遠しい。
文 泉誠一
写真提供 W LEAGUE