── ただ当てるだけだと動いてかわされる。相手の動きに対しても対応していく。当てて終わりじゃない。
髙田 そうです。小さい選手だと自分よりも大きい選手をボックスアウトすることもありますよね。上体だけ当てた形でやっても、そこから押し込まれてしまうんです。だから一歩目の足をいかに止めるかが重要です。ただ、これはひとつのやり方であって、まだまだいろんなやり方があると思います。話は逸れますけど、それぞれに合うやり方を見つけるためにも、指導者の方々が「ボックスアウトをしなさい」というよりも「こういうやり方があるよ」、「こういうやり方もあるよ」と細かく教えて、その人に合うやり方を見つけてあげることが大切ですし、そこまで教えないと選手はわからないと思います。
── 髙田選手は誰かから教わったのですか?
髙田 私の場合は体験が一番大きいですね。ボックスアウトに限らず、いろんなプレーでも「どうしたらできるんだろう?」とか、「ほかの人がどうやっているんだろう?」と考えて、見ていることが多いんです。今紹介したボックスアウトは女子日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチのやり方ですが、他にもいろんな人のやり方もあるので、そういったいろんなやり方を見ながら、自分にはこういうのが合っているなと選んだりします。
── 引き出しを増やして、そのなかから選択していったんですね。それは国内のみならず、サイズの異なる世界と対戦しても同じ考え方ですか?
髙田 考え方は一緒ですね。より一層全員でリバウンドを取ることが大切ですし、そこを意識しなければいけません。女子日本代表に関して言うと、「ヒット・ファースト」を合い言葉にしています。とにかく相手に強く当たりに行くことで、なるべくリングから遠い位置でボックスアウトをして、相手にリバウンドを取らせない。ゴール下で取らせると、もう太刀打ちできませんから。仮に取られたとしても、ゴールから遠いところで取られるくらい、最初にしっかり当てて、ペイントの中に入れさせないことはよく指摘されます。
── 高さでアドバンテージを取ろうとする各国に対して、簡単にセカンドチャンスに結び付けさせないようにするのが今の女子日本代表の考え方なんですね。
髙田 そうですね。最初に説明した、相手の一歩目の足を当てに行くボックスアウトは、自分もそうですけど、小さい選手にそういうことをされるといやだなって思ったり、もう次は入りたくないと思うものです。そうしたストレスを溜めさせることもすごく大事だと思います。ボックスアウトをする目的もそうですし、相手に「オフェンスリバウンドに行きたくないな」って思わせるためにも、相手に接触していくことは大切だと思います。
文 三上太
写真 W LEAGUE