2021年3月21日、日本女子バスケット界の歴史が12年ぶりに動いた。トヨタ自動車アンテロープスがENEOSサンフラワーズを破り、初の頂点に立ったのである。ENEOSが女王の座を明け渡したのは実に12年ぶりのことである。勝因の一つはリバウンドだった。
その試合を観ていたデンソー アイリスの髙田真希が言う。
「トヨタ自動車がオフェンスリバウンドを取って攻撃回数を増やしたのが1つのポイントかなって思います。フロントコートの選手たちももちろん、ファイナルではガード陣も飛び込んでいたことも印象的でした」
リバウンドを制する者はゲームを制する ── そんな格言もあるほど、リバウンドは重要なスキルである。にもかかわらず、敗れたチームが一番の敗因に挙げたり、徹底しきれないチームや選手が出てくるのはなぜだろう。
2020-21シーズンこそ、リバウンド女王の座を明け渡した髙田だったが、その前年まで5年連続でリバウンド女王に君臨していた。彼女はリバウンドの重要性をどう語るのだろうか。ファイナルの翌日、髙田にその極意を聞いた ── 。
Wリーグで痛感した「基本」の重要性
── 勝敗を左右するとまで言われるリバウンドで、髙田選手は何が重要だと思いますか?
髙田 基本が大切だと思っています。リバウンドというとディフェンスリバウンドが一番フォーカスされると思うんですけど、まずは相手に取らせないことが大切です。そのためにはディフェンスリバウンドの基本であるボックスアウトが一番重要かなって思います。
── ボックスアウトの重要性はよく言われていることですが、なかなか浸透しなかったり、できていないチーム、選手が多いです。なぜでしょう?
髙田 相手がいることなので、そことの駆け引きが重要になってきます。また人に当たりに行く習慣もそれほどないので、シュートに対して、どうしてもまずボールを見てしまう。体を当てずに取りに行こうとすることがよくある状況かなと思います。
── 髙田選手はどうしていますか?
髙田 自分が取りに行くことが一番なんですけど、今、より大事にしているのは『自分のマッチアップしている選手に取らせない』ことです。自分が取るというより、相手に取らせない。そこで落ちてきたボールを自分がしっかり取りに行くというイメージです。