頭でっかちになってしまったオフェンス
この2戦を通じて、オフェンスはフォーメーションをなぞることに注力し、ミスやタフショットになるケースが多く、もどかしい部分が目についた。川井自身も把握しており、「まだ完成しきっていないというか、本来は昨日のように速い展開に持っていきたかったです。しかし、今日のように相手に構えられて、それに対して打開する力もなく、プレーが少し頭でっかちになってしまっています。相手にアジャストをしてプレーすることばかりになってしまって、実際のコートの中で何が起こっているか状況を見ながら、選手たちで対応しなければいけないところが今日はできていませんでした」というのが、後手に回ってしまった原因だ。
三菱電機のオフェンスにアジャストしたデンソーは、12本のスティールを記録する。ドンピシャでパスカットをした赤穂ひまわりは、「昨日の試合後に『ディフェンスの寄りが甘いので、そこはしっかりローテーションまでしよう』と言われ、今日はそれを意識したことでスティールをすることもできたので、スカウティングのおかげだと思います」と明かす。根本もコート上でその変化を感じ取り、「昨日はデンソーがピックなどに対してローテーションして来なかったことで、思いっきりシュートを打つことができていました。でも、今日はローテーションが速く、それに対する対応もできず、自分たちの得点が止まってしまいました」と反省点を挙げた。オフェンスのもどかしい場面が、うまくいかなかった昨シーズンが重なって見えてしまった。
開幕したばかりのWリーグだが、レギュラーシーズンはBリーグの1/3となるたった20試合しかない。ゆえに、下を向いていては昨シーズンのような負の連鎖につながり兼ねない。2戦目に敗れた後、「戦う姿勢はあったけど、相手はそれを上回ってきたことで受け身になってしまった。でも、最後まで戦い抜いたところは次につなげられる部分でもあるので、下を向く必要はない。次に向かって行こう」と古賀京子ヘッドコーチは選手たちの背中を押し、すぐさま気持ちを切り替えさせた。2連勝と好スタートを切ったトヨタ自動車アンテロープスとの対戦が待っている。
文 泉誠一
写真 W LEAGUE