「彼女の持ち味を出せばチームに勢いがつきます。ENEOSはディフェンスから走るバスケットスタイルなので、その中で彼女がしっかりプッシュすることによって、外回りの選手や自分たちセンターも走らなければいけないと思っています」と渡嘉敷は、宮崎の特徴を挙げた。渡嘉敷も先頭を切って走って39点をマークした2戦目の攻撃回数は、77回に上がっている。
岡本彩也花と高田が出場できず、必然的に宮崎の出場時間が増えたことで課題も見えた。
「二人がいない分、ボールを持つ時間がすごく多かったので、もう少しウィングの選手にボールをさばいて、自分がボールを触らない時間を作った方がテンポも良くなり、流れも良くなると思っています。自分からすぐにボールをもらいに行ってしまったりする部分は反省点です」
渡嘉敷から宮崎へアドバイスを送る。
「少しボールを持ちすぎる傾向にあります。(1戦目の)ハーフタイムでも梅嵜(英毅)ヘッドコーチに言われていましたが、宮崎がどんどんボールの方に近づいて行ってしまったことで、スペーシングが狭くなってしまいました。宮崎を呼んでしまった自分の反省でもありますが、もう少しボールを離してスペーシングを取ることができれば、もっとチームの流れが良くなっていきます」
「リュウさん(※吉田のコートネーム)とネオさん(※藤岡のコートネーム)が抜けて宮崎ではダメなんじゃないか、と誰もが思っていたと思います」と吐露したように、今シーズンの不安材料はポイントガードだった。しかし、自らのパフォーマンスで払拭し、証明して見せた。マッチアップした富士通の町田瑠唯は「実際に戦ってみたら本当に速くて、ディフェンスからオフェンスへの切り返しのスピードがチームとしてもすごく速くなった感じがします。吉田さんと藤岡さんが抜けても、同じENEOSのバスケットができていました」という印象を受けた。
これまでもまわりのケガにより、チャンスは幾度もあったが、信頼を勝ち取るまでには至らなかった。開幕戦を任された昨シーズンだったが、先発起用は3回にとどまっている。悔しさとともに日本一の環境で学んできた7年間の経験を糧としながら、ENEOSのポイントガードとして、これまでと変わらぬ勝利や優勝という結果が求められる。笑顔とともにそのプレッシャーをはね除け、宮崎らしさを存分に発揮しながら今後も勝利へ導く活躍に期待したい。
文 泉誠一
写真 W LEAGUE