高さとスピードで相手を疲弊させ、開幕2連勝
ENEOSサンフラワーズは開幕節を2連勝し、12連覇へ向けた新シーズンは好スタートを切った。80-69で勝利した富士通レッドウェーブとの2戦目は、渡嘉敷来夢が総得点の約半分となる39点を叩き出す。4年目を迎えた梅沢カディシャ樹奈のプレーが落ち着いたことで視野が広がり、190cm台のツインタワーを止めるのは容易ではない。
富士通は2枚、3枚とディフェンスに付き、一度目は阻止できてもリバウンドを獲られて失点を許す。2試合とも前半は富士通がリードしたが、高さに対して体力が消耗し、ファウルがかさんだことで後半に引き離されてしまった。高さだけではなく、ENEOSはスピードでも富士通の体力を削っていく。
これまでも堅守速攻がENEOSの武器であり、そのまま日本代表が世界と対等に戦うスタイルへと昇華していった。日の丸を背負って活躍した主力ポイントガードが一気に二人抜けたENEOSは昨シーズンに続き、8年目の宮崎早織に先発を託す。昨年も同カードだった開幕戦は、56-61でENEOSが敗れている。その試合で先発を任された宮崎だったが、出場時間はルーキーの高田静の方が10分以上も長くコートに立ち続けていた。続く2戦目はその高田に先発の座を奪われ、シーズンが進むにつれて復帰した吉田亜沙美が先発を担っていった。
新たなる開幕に向かって志高く準備をしていたが「正直すごく不安で、自分で大丈夫かなと思っていました」という宮崎は、1年前のことがフラッシュバックすることもあった。しかし、いざ試合がはじまれば、スピードと積極的にゴールへ向かう宮崎らしさを全面に出し、流れをつかんでいく。一番長い38分11秒間出場し、77-60で勝利へ導く立役者となった。個人としても18点、7アシスト、4スティールと活躍し、「緊張しながらも良い結果になって本当に良かったです」と笑顔を見せた。
チームを勢いづけるスピードスター
宮崎のスピードを数値化するため、攻撃回数で比較してみよう。開幕2試合は平均75.7回で、富士通の平均72.2回を上回っている。吉田が先発で藤岡が2番手だった2016-17シーズンは平均73.6回、藤岡が全試合先発出場した2018-19シーズンは平均74.1回だった。入団する前の2013-14シーズンは平均72.9回であり、宮崎に出場時間を与えれば自ずとペースが上がっている。過去7シーズン、先発で起用されたのは27回。そのうち24回がルーキーシーズン(2014-15)だった。そのときの攻撃回数は平均75.6回と、今シーズンの2試合とほぼ同じである。2番手としてプレータイムを与えられたシーズンは、いずれも75回を越えていた。