part2「打ってきたという自信が無心を呼び込む」より続く
シューターとしての自負が高みへと導く
JX-ENEOSサンフラワーズだけでなく、女子日本代表でもシューターとしても結果を残してきた宮澤夕貴選手と林咲希選手。国内、国外ともにレベルの高い駆け引きがおこなわれるなかで、2人はシューターとしてどのように心を保っているのか。日本の女子バスケット界が誇るシューター対談の最終回は、高いレベルで結果を出してきた2人だからこそわかるトップレベルのシューターの難しさと楽しさについて語ってもらった。
── シューターってなかなかボールをもらわせてもらえません。もちろんディフェンスを振り切る駆け引きはしていると思うけど、改めてそうしたトップレベルのシューターの役割って何だと思いますか? 打つことでしょうか? 決めることでしょうか?
林 一番は決めることですね。今までは本数を打たなきゃいけないって思っていたんですけど、今は「打って決める」ことがひとまとまりになっています。
── 極論ですけど1分の1(1本打って1本決める)と、10分の1(10本打って1本決める)。シューターはどっちだと思いますか?
林 チャンスが少ないときに決められるのがシューターだと思うので1分の1かな。
宮澤 確かに1分の1を決めたらいいんですけど、10分の1だとそれはもうシューターと言えないんじゃないかなって思います。私は4分の1でも……いや、3分の1でも自分は満足しないですね。
林 3分の2とか、4分の3とか。
宮澤 シューターならせめて7分の4か、3か……7分の2になったら絶対によくない。7分の4くらいが満足できるラインかな。
── 2人はこれまで女子日本代表でもシューターポジションを担ってきましたし、これからも国際レベルでの期待がなされるわけですが、国際ゲームと国内のゲームでシュートの感覚は違いますか?
宮澤 全然違います。国内だとこれくらいの間合いなら打てるけど、国際ゲームで同じ間合いだと打てないんです。国際ゲームでは「ここから(シュートコンテストに)飛んでくるの? しかも届いちゃうの?」って思うことがあります。逆に国際ゲームのほうがディフェンスのスピードが遅いから打てるときもありますけど。
林 私もアジアカップで優勝したとき相手の高さをすごく感じました。予選で韓国とやったときなんて全然打てなくて、トムさん(トム・ホーバス女子日本代表ヘッドコーチ)にめっちゃ怒られて……
宮澤 めっちゃ怒られていたよね。
林 そう。だからもっとクイックで打たなきゃいけないのかなって感じたし、動き方やボールを受ける位置も考えなきゃいけないんだって思ったんです。でもすぐにオーストラリア戦や中国戦で実行して、できたからよかったですけど。国際大会では速く動いて、速く上がる……そこでクイックを学んだかなって思います。