── 林選手はずっとシューターですよね?
林 いえ、高校のときは4、5番です……
宮澤 ええ! そうなの(笑)?
林 はい。高校時代も3ポイントシュートは打っていましたが、1試合で1本か、2本打つくらい。ゴールに背を向けるプレーはしていないけど、ほぼペイントエリア周りのシュート……ショートコーナーとか、エルボーシュートばかりでした。
宮澤 まさかだ(笑)。
── シューターにコンバートしたのは白鷗大学に進学してから?
林 そうですね。大学を決めるときに、白鷗大だと2番、3番での起用を考えているって言われたんです。ヘッドコーチも福岡の方だし、走るプレースタイルも合っているから、そこに決めよう……ほかの大学は4番、5番での起用と言われていたから、プレーレンジを広げられるんだったら広げようと思って白鷗大学に決めたんです。
── 宮澤選手のように高校を卒業したら、ポジションを上げなきゃなっていう思いがあったのですか?
林 変えなきゃっていうより、変えたいって思いました。もう少し楽しくやりたいなって。
── 林選手は白鷗大学でシューターとしての才能を開花させるわけですが、お二人が実際に知り合うのはJX-ENEOSに入ってからですか?
林 そうですね。
宮澤 白鷗大ですごく活躍している選手というのは知っていました。だからキキ(林)が入ってくるときに3番ポジションだと思っていたから、私とリト(大沼美琴)も「大学MVPのすごい選手が入ってくるらしいね。しかもシューターらしいから、来シーズンは頑張らなきゃ」って話していたんです。
── 危機感があったと。
宮澤 ありました。スタートを取られるんじゃないかって本気で思っていたほどです。ちょっとやばいなって。そう思ったのはキキが入ってきたときだけです、ほかの子は年齢がかなり下になるので、それほどの危機感を持つことはなかったけど、キキのときは本当にそう思っていました。
── 林選手はどんな思いでJX-ENEOSに入団したのですか?
林 いくつか選択肢はあったんですけど、自分を一番成長させてくれるチームはJX-ENEOSが断トツだと感じたので、それだけでJX-ENEOSに決めました。
── ポジションのことは考えましたか? 受け入れる側には危機感を持っている選手がいたわけだけど、入る側としては?
林 いや、そういう意識がまったくなかったから、こういう感じになったんだと思います。
── こういう感じ?
林 なんて言うんだろう……自分がJX-ENEOSで練習しているイメージは湧くんですけど、当時は試合で活躍しているイメージがあまりなかったんですよね。もちろんJX-ENEOSで活躍したい気持ちもあったんですけど、それ以上にJX-ENEOSで自分を磨きたいという思いが強かったんです。あのとき大学みたいに試合に出たいっていう強い思いがあったら、もっと違う感じで、もう少し早くチームに絡めていけていたのかなって思ったりもしますね。
part2「打ってきたという自信が無心を呼び込む」に続く
文 三上太
写真 吉田宗彦