信頼を勝ち取るために
吉田がキャプテンを務めていたチームはWリーグで連覇を重ね、皇后杯も連覇を重ね、さらにアジアカップで連覇、リオデジャネイロオリンピックにも出場している。
そうしたキャプテンとしての孤独や苦悩を乗り越えたメンタリティは、ポイントガードの吉田にも大きな影響を与えている。
「やっぱりバスケットはポイントガードがボールを運んできて始まるスポーツだから、そこは責任あるポジションだと思うんです。たとえばコールしたプレーが失敗したときに『ヤバイ』って思うときがあるんです。もちろん今もね……今もあるんです。でもポイントガードはそれをどう挽回するかもひとつの仕事だと思うから、そこはキャプテンをやっていたときも、ポイントガードになったときも変わっちゃいけないところ。キャプテンだったからそれをやる、じゃなくて、ポイントガードはコートのなかのキャプテンだから、そこはブレずにやっていかなければいけないかなって。チームメートもポイントガードがリーダーシップを取らなきゃいけないことをわかっているから、ポイントガードのコールでみんなが動き出すわけです。それが重要な務めだってことをポイントガードをやっている子たちはわかっていると思うんですよね」
そして突然、吉田は自分の言葉で思いついたかのように話の向きを変え、笑顔を見せる。
「それもすごく楽しいからね。だって、みんなは何をコールされるか、わからないわけでしょう? でも自分は何をコールするのがわかっているわけですよ。そんな自分のコールに対してみんながきっちり動きを作ってくれて、得点につなげてくれる。それもポイントガードしてのすごく楽しみなところだと思いますよね」