Wリーグは序盤の1ヶ月を終えた。全勝チームはおらず、12連覇を目指すJX-ENEOSサンフラワーズとともに、昨シーズン4強に入れなかったトヨタ紡織サンシャインラビッツと富士通レッドウェーブがそれぞれ1敗で好スタートを切った。11月はアジア・オセアニア地区のオリンピック予選を兼ねた国際大会(※日本は開催国枠で出場が決まっているが参加が義務づけられている)が控えているため、Wリーグは約1ヶ月間のブレイクに入る。勢いに乗れなかったチームにとって、この1ヶ月は貴重な期間となる。1勝5敗のシャンソン化粧品シャンソンVマジックも、これから挽回しなければならない。
チームが若返ったことによる不安感
昨シーズンから戦力が大幅に入れ替わり、主力として残っているのは本川紗奈生と谷村里佳だけである。3年目の須田多恵はまだ20歳であり、この2年間で獲得したルーキーは8人。今シーズンから移籍してきた3人(坂田侑紀奈、ワシントン錦、坂井郁香)もこれまでの試合出場数が少なく、経験不足は否めない。
あれ?この状況はどこかに似ている。アキレス腱断裂のため、エースのジョン・ウォールは復帰の見通しが立っていない。昨シーズン、生え抜き選手が次々と放出され、残った主力はブラッドリー・ビールとトレードでやって来たトーマス・ブライアントだけの二人となった我らがワシントン・ウィザーズと同じだ。20代前半の若い選手が多く、ルーキーの八村塁とともにスターティングラインナップに抜擢されたアイザック・ボンガは19歳である。やっぱり経験不足は否めず、なんとか勢いで今シーズンを乗り切り、プレーオフスポットに入ってくれるのを祈るばかりだ……シャンソンに話題を戻そう。
チームの現状について、「チグハグですよね…」と本川は言い表す。丁海鎰(チョン・ヘイル)ヘッドコーチが目指すスタイルは、選手に要求するレベルが高い。しかし、経験不足かつ若い選手たちにとってはそのレベルに達しておらず、試合を見ていてもチグハグさは露呈していた。丁ヘッドコーチのバスケを熟知する本川とキャプテンの谷村とっては、歯がゆい状況が続いていることだろう。若い選手たちのレベルまで一段下りて教えなければならず、目指すべきスタイルよりワンテンポもツーテンポも遅くなってしまい、苦しいシーズンスタートとなった。
ウィザーズの場合は幸いなことに、イシュ・スミスとアイザイア・トーマスという経験豊富なベテランガードを補強したことで、今のところ新チームを引っ張ってくれている。だが、シャンソンのポイントガード陣は実戦経験が足りていない。トヨタ自動車アンテロープス時代に丁ヘッドコーチの下でプレーした坂田が2年ぶりに復帰したが、これまでの試合出場は4シーズンで39試合しかない。アーリーエントリーから数えて3年目の小池遥も勉強段階である。