── 同じく同期の馬瓜ステファニー選手(トヨタ自動車アンテロープス)は3×3 U23ワールドカップで世界チャンピオンとなりました。
ステファニー選手も手足が長く、すごいなって思う選手です。彼女らが活躍したからこそ、若いからという言い訳はもうできないし、経験がないからという言い訳もしたくないです。お互いにがんばっていきたいです。
── デンソーのときの背番号は1番でしたが、今は代表と同じ99番にした理由は?
心機一転し、新しい自分になりたいという思いがあります。今シーズンに向けて立てた目標は「NEW SELF」。いろんなことがありましたが「新しい自分」になり、経験値を積み上げていこうと思い、代表と同じ99番にしました。
── 99番の意味は?
入場時に絶対一番最後になるかなぁ、と思って。新しい選手が入って来ても、それ以上大きい背番号はないじゃないですか。絶対最後に入場するので、それがルーティンになると思いました。
── 逆にデンソーでの1番の意味は?
1番はチームからいただいた背番号でした。
── 富士通への移籍も、背番号も、全てにおいて自分で決断したわけですね。開幕戦でのヒロインインタビューで家族へ向けた感謝のメッセージを送っていましたが、反応はいかがでしたか?
デンソーでは顔がこわばってプレーしているし、不安げな顔だったことをお母さんが一番最初に気付いていました。これまでは監督に誘われたから高校を決めたり、自分の意志で動いたことがありませんでした。今回、移籍したいという思いをお母さんに伝えたとき、「自分の選んだ道があなたの人生なのだから、あなたが思った通りに進みなさい」と言われました。本当にありがたい言葉でした。
── 目標に定めたオリンピックへの思いを聞かせてください。
オリンピックは誰しもが狙えるわけではなく、誰しもが出られる場所でもありません。でも今、そこに対して手が届く位置にいることをプラスに捉えています。しかし現状は、候補メンバーの中では誰よりも経験値が少なく、誰よりも足りない部分が多いことも分かっています。みんな経験があるからこそ、一緒に練習していてもまわりがすごく上手く見えます。まだまだ自分がやらなければいけないことがたくさんあり、今シーズンのWリーグは自分自身にとって大きな意味を持つと思っているので、一戦一戦を大切に戦っていきたいです。
富士通レッドウェーブ #99 オコエ桃仁花
20歳の決断
part1「一度全てをリセットして前に進みたい」
part2「チームに貢献することが幸せであり、バスケの楽しさを実感」
part3「『NEWSELF』新しい自分を追い求めて」
文 泉誠一
写真 沼田侑悟