谷村はベスト5のパワーフォワード部門、もしくはセンター部門での受賞も十分に考えられたが、それ以上にこの賞がふさわしいとの理由で(より多くの選手に賞を授与したく、原則的に「ダブル受賞はなし」というのがSpiritsの方針)、MIPとさせていただいた。
MIPにはどうやら2つの意味があるらしい。「Most Improved Player」と「Most Impressive Player」である。前者は「年間を通じて最も成長した選手」で、NBAなどはこちらを取っている。一方の後者は「最も印象に残った選手」である。ファン投票で選ばれることが多いらしい。Spiritsでは編集者、ライター、フォトグラファーの投票(鶴の一声?)で選ばれた。それくらい「今シーズンを通じて成長し、印象にも残った選手」である。
1試合平均でリバウンドは昨シーズン比で約2本の増加、アシストも0.5本分増えている。そして何よりも平均得点が100%アップ、つまり倍に増えている(8.45点→16.9点)。オンボールスクリーンからのダイブとポップアウトを絶妙に使い分け、ポップアウトからの3ポイントシュートも精度が高い。これが2019年度の日本代表候補に選ばれた一番の要因でもあろう。スクリーンを使った現代バスケットにマッチした谷村が次のシーズン、どのような成長を見せるのか、楽しみである。
文 三上太
写真 W LEAGUE