PF:長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス #2)
渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)という絶対的な選手がいるパワーフォワード部門は、なかなか対抗しうる選手も少ない。髙田真希(デンソーアイリス)が、唯一ではないにせよ、対抗しうる選手ではあるが、彼女は本家ベスト5で「センター」として選出されている。
となると、スモールフォワードでありながら、インサイドでのパワープレーもできる選手まで選択肢を広げる必要がある。もしくはペイントエリアを主戦場としながら3ポイントシュートも可能な、いわゆる「ストレッチフォー」か。後者であれば野町紗希子(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)や河村美幸や谷村里佳(ともにシャンソン化粧品シャンソンⅤマジック)らが挙げられるが、野町は失礼ながらもうひとつインパクトに欠け、河村はケガのため今シーズン1試合もプレーしていない。全試合スタメン出場し、得点、リバウンドともにリーグでのランキング4位の結果を残した谷村への得票も多く集まったが、限られた出場時間のなかでも存在感を見せた長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)がわずかな差で上回った。来シーズン(2019-20)はスペイン代表の現役ヘッドコーチであるルーカス・モンデーロが指揮官となる。スモールフォワード部門を逃した(?)馬瓜エブリンと、その妹・ステファニーらとともにチームの核となるフォワードになれるか。赤穂ひまわり同様、来シーズンへの期待を込めて進呈したい。
C:王新朝喜(三菱電機コアラーズ #24)
数が少ないようでいて、実は激戦区なのがセンター部門。大崎佑圭が育休中のなかでJX-ENEOSサンフラワーズの11連覇に貢献した梅沢カディシャ樹奈や、チーム史上初のファイナル進出を果たした三菱電機コアラーズの王新新喜と西岡里沙、赤穂さくら(デンソーアイリス)に、馬伊娜(トヨタ自動車アンテロープス)。パワーフォワード部門にも記した谷村里佳(シャンソン化粧品シャンソンⅤマジック)や篠原恵、栗林未和(ともに富士通レッドウェーブ)、丹羽裕美(東京羽田ヴィッキーズ)、そしてプレーオフこそ逃したが鈴木知佳(日立ハイテククーガーズ)もいる。実は日本って、サイズは別にしても、センターの宝庫じゃないかと思わせるほど。
それでもBasketball Spiritsとして今シーズンのベスト5に王を選出したのは、今シーズンの三菱電機のファイナル進出に彼女のステップアップが欠かせなかったとの思いだ。これまではどこかに弱さが垣間見えていたが、今シーズンは最後まで強気でゴールにアタックし続けていた。1試合平均のリバウンド本数こそ昨シーズンよりやや落としたが、得点、アシストは増加。その安定感はインサイドでタッグを組む西岡のよいお手本にもなったはずだ。
彼女についての詳細は5月のテーマであった「ビッグマン特集」で読んでいただくとして――ここへの誘導が一番の選考理由か(笑)――ベテランの領域に入っても成長し続けている王こそ「Spirits的ベスト5」にふさわしいビッグマンである。
※選手所属は2018-19シーズンによる
文 三上太
写真 三上太、バスケットボールスピリッツ編集部、Wリーグ