ワンハンドシュートに慣れてきたのは3シーズン目の終盤。ならばと4シーズン目となる昨シーズン、女子日本代表が「4アウト1イン」というシステムを新たに採用したことも相まって、宮澤は3ポイントシュートに着手した。
「でも、そうするとミドルシュートがおかしくなってしまったんです。結局シーズンの途中で3ポイントシュートを打つのをやめました。練習もやめました。本格的に練習を再開したのは今シーズンが始まる前です」
4シーズン目の出来があまりにも不甲斐なかったこともあって、宮澤の今シーズンにかける思いは並々ならぬものがあった。オリンピックで試合に出られない悔しさを感じていたが、それでも気持ちを切らすことがなかったのは、心のどこかにリーグ戦での巻き返しを誓っていたからでもある。
そうして迎えた今シーズンの開幕戦だったわけだが、3ポイントシュートについては、その少し前から自信を得ていたと認める。
「シーズンが始まる前に韓国遠征をしたんです。そのときに毎試合、まとめて3ポイントシュートが入ったんです。そのときに『自分は3ポイントシュートが打てるんだな』って自信を持つようになりました」
それまでは1本だけ決めることがあっても、複数の成功は経験がなかった。ホーバスヘッドコーチからは「入るから打って」と言われていたが、自分自身が自分のシュートを信じ切れずにいたのだ。それが韓国遠征の成功体験で180度転換し、開幕戦の、そして今シーズンの宮澤を生み出したのである。
3ポイントシュートは“未来”への通過点
3ポイントシュートという“武器”を手に入れたことで、宮澤のプレーの幅が大きく広がった。シュートを構えるだけでディフェンスが飛び出してくるので、苦手だったドライブがしやすくなり、スクリーンからの攻撃もスムーズにできるようになった。
「あれもできる、これもできる、といろんな発見がありました。だから今シーズンはおもしろかったです。もちろんダメな時期もありましたけど、『それを超えたらまた自分がステップアップできる』という自信も芽生えたので、ダメな時期に悩んでいる自分も含めて、今シーズンはすべてがおもしろかったです」
3ポイントシュートは宮澤にとって、自分が目指す最高の自分への通過点でしかない。
文・写真 三上太