※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2016年10月発行vol.2からの転載
バスケットファミリーの長女として、その体躯を生かしたプレイで昨シーズンのWリーグ新人王を獲得した赤穂さくら。しかし彼女は慢心することなく、むしろ自らの現状を正確に見つめて、一歩ずつ世界への階段を登ろうとしている。
── まずはルーキーシーズンの昨年を振り返っていただけますか?
昨シーズンは自分の中でも何をやっているかがわからない状態でした。今でもよく覚えていないくらいです。それくらい大変でした。高校のときとは体の当たりも違って、シーズンの前半はそれに慣れるまでに精一杯でした。それに慣れてきたなと思ってきたら、今度は技術面で全然通用しない。シーズンを通して自分の中でもアップアップの状態でプレイしていました。 だから何か困ったことがあると先輩方、特に自分はリツさん(髙田真希)を探していたんです。いや、困った状況だけでなく、自分がシュートを打てるタイミングでも、慌てて、リツさんを探してしまうこともありました。1年目を終えて、それじゃダメだな、先輩に助けられてばかりじゃダメだって思ったので、今年は自分でも得点を取りにいけるよう意識して練習をしています。
── 2年目のテーマは「自立」だと?
はい。小嶋(裕二三)ヘッドコーチからも「2年目からは自分でしっかり得点を取っていけるようにしなさい」と言われています。自分でもそれは強く思っていることなので、今シーズンは自分から仕掛けて、しっかりと得点を取っていきたいと思っています。
── 髙田選手の話が出てきましたが、彼女から学ぶところは多いのでは?
そうですね。特にオフェンス面で思います。今夏のオリンピックでもリツさんはドライブなども決めていましたよね。ああいうドライブができないと世界では通用しないなと思ったので、ドライブを身につけたい。ゴール下でも強いプレイをして、そうかと思えば、ステップインでかわすプレイもすごくうまい。そうした自分にない所は真似したいなって思いますね。
── 髙田選手から教わることはありますか?
練習が終わった後にリツさんが声をかけてくれて、オフェンスの合わせ方や、ポストプレイの守り方、スクリーンプレイの守り方など、細かく教えてくれています。ただ、ステップインなど個人スキルはあえて聞かないようにしています。そこは見て学びたいという気持ちがあるので。リツさんの動きを見ながら、自分にできるプレイは何なのかを考えるようにしています。
── 髙田選手のコピーではなく、赤穂さくら独自のスタイルを創造したいと。
はい。リツさんみたいな鋭いドライブもできるようになりたいけれど、自分の持ち味はインサイドで体を張ることだと思っています。そこは変えず、インサイドでしっかりと体を張ることをベースに、外からもドライブができる、というようになりたいです。
正直なことを言えば、今夏のオリンピックを見て、あの舞台は、自分にはまだ早いなって思ったんです。日本代表に入ることも今の自分ではまだまだダメだなって。一方で今回、最終選考まで残していただいたことはすごくプラスの経験だったと思っています。だからこそ、この経験を生かして2020年は絶対に選ばれたいですね。
文・写真 三上太