──トップを走るチームとしてのプレッシャーはないですか?
吉田 それはありますけど、それを感じると自分はダメなので考えないようにしています。勝ち続けなければならないというのはチャンピオンチームにしかないプレッシャーですが、それはある意味『使命』みたいなものなので、それを言い訳にしないように内容を重視してやっていこうと、それはみんなにも伝えています。
田中 頼もしくなったなあ。昔は可愛いガキンチョだったのに(笑)。
「リュウは成長したなあ」としみじみ思う(田中)
──コートの上では頼もしい吉田選手ですが、オフコートでは女の子っぽいとか、そういう意外な面はありますか?
田中 女の子っぽい? それはないですね。(吉田選手に)あ、ごめん、きっぱり答えちゃって(笑)でも、女の子っぽくはないよね? 吉田 ないですね。部屋とかも女の子っぽくないし、着る物も女の子っぽくないし。
──結婚にあこがれることもないですか?身近に幸せオーラを出している田中さん(今年結婚)もいますが。
吉田 私は「1番楽しい時間は甥っこと遊んでるとき」と答えるぐらい子どもが大好きで、いつか子どもは欲しいなあとは思いますが、結婚はまだピンとこないし、あこがれみたいなものもないですね。
──それより今はバスケットで頭がいっぱい?
吉田 そうですね。今年オリンピックに出て世界と戦ったことで自分が通用しないものもたくさん見つかりました。そういう課題が見つかった時点で4年後(東京オリンピック)を見据えて自分の強みを増やしていくことが今のモチベーションになっています。それは私だけじゃなく間宮(佑圭)や渡嘉敷(来夢)もきっと同じで、努力しなければ4年後に選ばれる保証がないことは、今回のオリンピックメンバー全員がわかっていると思います。今後のアジア選手権や世界選手権を目標にやっていかないと4年後はないと思っているので、そのためにもまずはリーグ戦を通して成長しようという意識を持ってやってます。だから、そうですね。今はバスケットのことで頭がいっぱいですね。
田中 いやあ、すごい! 今、聞いてて感心しました。(吉田選手に)話すの上手くなったねえ。昔、リュウといっしょにメディアトレーニングに行ったことがあるんですけど、そのときもほとんど喋れなくて心配してたんですよ。それが今ではこんなにもしっかり自分のことばで理路整然と話せるようになって本当にびっくりしてます。成長したなあってしみじみ思いますね。
──でも、どれだけ成長しても可愛い後輩であることには変わりないですよね?
田中 いえ、もう『可愛い』を越しました。ものすごい人だと思ってます。なんか大人になっちゃったなあと、ちょっと淋しい気もしますけど。
──吉田さんにとって田中さんは今でも尊敬する先輩?
吉田 尊敬はしてますけど、今は先輩というよりすごくいい友だちですね(笑)。
田中 私はバスケットクリニックをやっているんですが、小学生や中学生に「私、あの吉田選手とお友だちなんだよ」と言うと、すごい!っていう雰囲気になって私の株が上がります。ので、これからも使わさせてもらいます(笑)。
吉田 はい、どうぞ(笑)これからもよろしくお願いします。
田中利佳
2001年よりジャパンエナジーJOMOサンフラワーズ(現JX-ENEOSサンフラワーズ)に加入。主将を務めベスト5に選ばれるなど活躍し、日本代表にも選出。2012年6月のロンドンオリンピック世界最終予選を最後に現役を引退。現役時のコートネームはレン。
文 松原貴実
写真 安井麻実