ファイナル進出を決めたJX-ENEOSサンフラワーズは、これまで負けなしの快進撃を続けている。ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した藤岡 麻菜美選手は、デンソーアイリスを破ったセミファイナルにおいて平均8.5点を挙げており、プレータイムは吉田 亜沙美選手の2試合で40分に迫る37分間もコートに立ち、その存在感を示している。
現在無料配布中のバスケットボール・スピリッツVol.6の特集テーマは「未来は僕らの手の中に」。明るい未来を切り拓く存在である藤岡選手のインタビューは、すでにVol.1に掲載されていた。しかし、今月号の特集には欠かせない選手である。シーズン前に未来を語っていただいたVol.1の内容をWEB版にて再掲させていただこう。
Wリーグは3月8日(水)より、5戦3先勝方式のファイナル「JX-ENEOSサンフラワーズvsトヨタ自動車アンテロープス」戦がスタートする。ぜひ会場となる佐賀県総合体育館、熊本県立総合体育館、代々木第二体育館に足を運んでいただくとともに、全試合NHK BS1で生中継されるので、日本一が決まる戦いをお見逃しないように!!
強豪を次々と打ち破り、アメリカを慌てさせた女子代表の活躍は記憶にも新しい。リオの熱気をそのままに開幕を控えるWリーグ。その絶対王者JX-ENEOSに加入するルーキーは、五輪直前まで代表に名を連ね「東京」も担える逸材と注目を集めている。
── リオ五輪では直前の合宿まで代表メンバーに残っていました
五輪前の遠征ではフランスやベラルーシとも試合をしていました。そのチームと本番であそこまで戦えたことは、すごいな、というのは当然あるのですが、遠征では試合にも出してもらっていたので、悔しいな、という気持ちも込み上げてきました。自分もそこにいたらどれだけできたんだろう、と。合宿でやっていたフォーメーションが出たときには「こういう攻め方もあるんだ」「自分だったら、ここはいけたのかな?」という目線で観戦していました。
日本の武器は外からのシュート。次の東京に向けても、そこはさらに強化しなければいけないと思います。自分もシュートがあまり得意ではなくて、代表の12人から落選したことで明確になった課題なので、もっと上達させていきたいです。
── 代表には同世代の選手もたくさん選ばれています
リオから戻ってきた宮澤(夕貴)選手(JX-ENEOS、93年生まれで同学年)は体がすごく強くなっていて驚きました(笑)。接触プレーも多かったですからね。
合宿で代表に呼ばれたときも、大学とWリーグではバスケの質が違うと感じました。高卒の同期だとしたら今年で5年目、それぞれキャリアがあります。その差は、なかなか埋められないと思いますが、大学を選んだのは自分ですし、それは決して間違ってないと思います。みなさん活躍されてますが、そこに追いつけるように頑張りたいです。
── 大学へは教職を目指して入られたと聞きました
教員免許を取って、指導者になりたいと思っていました。ですが1年生のときのオールジャパンで富士通さんと僅差まで競った試合を経験して「Wリーグでプレーするのも楽しいんじゃないか」って。Wリーグは、それまで全然考えてなくて、高校でも声を掛けていただいたのですが「上でできるような選手じゃないので」と断っていました。
大学では人との接し方や、社会の厳しさを学べました。教育実習は本当に自分のためになったと思います。高校までは怪我とは無縁だったのですが、大学で初めて大きな怪我をして、どれだけ自分の気持ちを保ちながら、チームのために何ができるかといった内面的な部分も成長できました。
大学に進んだからこそ、ユニバーシアードなど国際大会へもたくさん参加できましたし、ガードは経験で差が出るポジションなので、そこも良かったと思います。
── 同じポジションには吉田亜沙美選手が君臨しています
JXを選んだ理由として、自分が成長するためにも吉田選手がいる環境ということが大きかったです。毎日一緒に練習して間近でバスケットを見ることで、学べることがあると思います。最初はたくさん技を盗んで吸収して、いつかは越えていかなければならないと思うので、それが何年先になるかわからないのですが、それを目標に自分を磨いていきたいです。
── リーグ戦が始まります。意気込みを聞かせてください
個人的には常勝軍団にはいることが初めてなので、その緊張感を楽しみたいです。1年目だからこそ何も考えずに思いっきりできることがあると思います。臆病にならずに自分のできることをチームのためにやって、吉田選手の少しでもバックアップになれるように頑張りたいと思います。
文・写真 山上 和也