──部長会の反応はいかがでしたか?
N:上々でした(笑)。今の部長会メンバーでなければ受け入れられなかっただろうなとも思います。部長会は雰囲気がとてもいいんです。西井専務理事の呼びかけに応え、企業チーム、クラブチーム問わずメンバーの皆さんが背中を押してくださったんです。だからこそ、オールスターがうまくいったのではないでしょうか。
──実際に計画を進める上でのご苦労は?
N:前回の開催が13年前ということで、マニュアルもないところからのスタートでした。新潟でbjリーグのオールスターをやったことがあると言っても10年前で、当時を知る者もほとんどいない。bjリーグの他チームからアドバイスを受けることもありましたが、女子(WJBL)として独自のもの(bjの焼き直しではなく)をつくらなければならず、日程上、男子の2つのリーグとも並行するので、プレッシャーはありました。
とはいえ、これまでのWJBLはあまり演出的なことはしていないし、新潟でやってきたことをベースにブラッシュアップさせれば顧客満足度を上げることにつながるだろうと考えたのです。難しかったのは、やり過ぎないこと、赤字もNG……お客様満足度とのバランスが一番の難題でした。
──光と音で演出されたオープニングセレモニーなど、大いに盛り上がっていましたね?
N:実は、計算違いが2つあって、1つはリオ五輪の出場権を女子日本代表が早い段階で獲ってくれたこと、これは追い風になってくれました。もう1つは選手たちが“めちゃくちゃ楽しそうにプレーしてくれた”こと(笑)。試合当日に選手たちをチームに帰すことが条件で、試合開始時間を昼間にせざるを得ませんでした。土曜日なので、本来は夜の開催が理想なんですが、さまざまな制約がある中で、参加した選手たちが楽しそうにプレーしてくれたことで結果的には、「実は演出とかは大した問題ではなかった」そう感じることができたんです。
レギュラーシーズンなどの試合では、遠征で来てくれる選手たちというのはストイックな感じで張り詰めたイメージしかなかったのですが、満面の笑みでプレーする選手の顔は見たことがなく、とても新鮮でしたね。被りモノも選手たちが前日に自分たちで買って用意してくれたものです。選ばれた選手が、自分たちで考えてエンターテインメントをしてくれた。馬瓜選手(エブリン/アイシンAW)が踊ったり、伊集選手(南/デンソー)が逆立ちしたり……まったく予想できませんでした。
コーチ陣も最初はエンターテインメント的な采配は難しいと言っていたのが、実際は“ちょうどいい塩梅で出場時間もシェア”してくれて絶妙な采配でした。やはり一流のコーチ陣なんです。
──新潟の出岐 奏選手がMVPを取ったことでも盛り上がりましたね?
N:計算外でしたね(笑)。最初に聞いたときは、辞退したほうがいいのかなと思いました。自分は試合をあまり見ることができなかったので、「いや、そんなに気を遣っていただかなくても」と。ただ聞いてみると、スタッツ的には問題がなく妥当だということで……後でビデオを見直したら、「よく決めた! 持ってる」と。今シーズンはチームが勝てずに終わってしまいましたが、オールスターという、一流選手の中に入っても遜色がない。「どうだい、ウチのエースはすごいだろう」と溜飲が下がる気持ちでした。