2月25日、「JAPAN 2024 TASKFORCE」の川淵三郎チェアマンと、平成26年度女子日本代表の選手たちとの意見交換会がおこなわれた。女子日本代表とはいわゆるA代表だけでなく、アジア大会日本代表、U-18日本代表、U-17日本代表をも指す。出席したのは大神雄子、久手堅笑美、宮元美智子、大庭久美子、渡嘉敷来夢、長岡萌映子、諏訪裕美、篠原華実、そして加藤優希。篠原と加藤は現役の女子高校生である。
川淵チェアマンから忌憚のない意見を求められるなか、彼女たちは「オリンピックに出るのが夢。その夢の実現のためにも(今年8~9月におこなわれる予定の)オリンピック予選に出たい」、「バスケットをやっている子どもたちの未来を奪わないでほしい。早く制裁の解除を」、そして「世界と互角に戦うためには(合宿を含めて)世界と戦える環境が欲しい」といった懇願に終始する。むろんそれらは彼女たちの切実な願いであるが、現状の女子日本代表活動に対する問題提議ではない。唯一、大神が「Wリーグの登録期限は5月末であり、それだと世界に出ていくことが難しくなる」との問題を提議したが、それとて日本バスケットボール協会の問題というより、Wリーグの問題である。
だからといって、この意見交換会が無駄だったかと言えば、けっしてそうではない。大神は久手堅以下のメンバーがこの会に参加した経緯をこう説明する。
「はじめは『シン(大神のコートネーム)だけでいいんじゃないか』と言われていたんです。でもこういう機会にほかの選手がいないのはダメなんだと私からお願いしました。川淵さんの話を選手たちが聞いてどう感じるか。またほかの選手の意見をどう感じるのか。そういう輪を広げていくことが必要だと思って、リーグの最中であることは十分に理解したうえで、監督会、部長会、Wリーグの方々に理解してもらって、選手を集めてもらいました。その点はすごく感謝しています」
アメリカや中国でプレイした大神だからこそ見える日本の女子バスケット界の盲点。当初はそんな大神と川淵チェアマンの話し合いの場でもいいのではないかと打診されていたという。しかし、それでは日本の女子バスケット界に発展はない。大神はそう考えたわけだ。
事実、上記の選手たちの懇願には、たいていこんな枕詞がついていた――制裁の問題など詳しいことはよくわかりませんが……。
彼女たちは今、タスクフォースが日本のバスケット界をどのようにしようとしているのか、あまり理解していない。さほど興味も持っていないのかもしれない。しかし、それはそうだろう。Wリーグは佳境を迎えつつある。協会関係者はそちらに注力しているようだが、自分たち選手は目の前のゲームに集中することを最優先しなければならない。もちろん代表のことを考えればまったくの無関係ではないが、それでも根本は男子の問題がメインであり、女子バスケとは少し遠い世界のことだと考えていてもおかしくはない。
つまり彼女たちは恵まれているのだ。これは川淵チェアマンも認めるところで「女性のスポーツはなかなかプロとして成立しにくい中で、女子バスケットは企業がバスケットをやらせてくれて、給料ももらえている。率直に女子バスケットは恵まれていると思いますよ」。