診察し、治療および手術をし、直後の状態を測定して、そのうえでリハビリのプログラムを組む。それらは医師およびPTの仕事である。しかし競技復帰への道のりは病院が定めたリハビリ以外にもある。PTやチームのトレーナーとも連携を取りながら、FOCS GYMは異なるアプローチから選手をサポートしている。
こんな実例もある。FOCS GYMに通っている現役Wリーグ選手のなかに、ヒザの具合がよくなく、今オフに手術に踏み切った選手がいる。彼女の場合、よいほうのヒザを100%として比較したとき、手術した足は62%ほどしか機能していなかった。それを85%くらいまで戻すことで、これから始まる新しいシーズンに向けたチーム練習にもスムーズに入っていける。FOCS GYMは彼女がよりよい状態に戻るための「23%」を担ったというわけである。
「低酸素ルームでぶっ倒れていますよ(笑)」
むろん相手はケガからの復帰を目指す選手たちばかりではない。ケガをしていない、元気な選手たちを、より高いパフォーマンスに導く強化も彼らの主戦場だ。FOCS GYMにはウェイトトレーニング系のマシンはもちろん、人工芝を敷いたトレーニングスペースもある。特筆すべきは「低酸素ルーム」の存在だろう。室内の酸素量を調整することで高地トレーニングと同じ効果を得ることもできる部屋があるのだ。
「強化が主体の選手はここでガンガン、トレーニングをするだけです。最近もバスケット選手が来て、低酸素ルームで走っていましたが、最後はぶっ倒れていましたよ」
笑顔でそう語る北本こそ、筆者の知る彼である。
「ただ彼女たちは意識を高く持っています。もっと、ちゃんとトレーニングをしたいから、ここに来て、きちんとお金を払っているんです。けっして安くないと思います。パーソナルトレーニングであれば、1回につき6000円を支払うわけですから。週に1回、月4回来れば2万4千円でしょう。会員になれば、その料金もある。彼女たちはちゃんとそれらを自らの財布から支払ってきているんです」
Wリーグであれば約半年のシーズンのために、そうした努力を怠らない選手たちがいる。そうした影の努力を彼女たちは自分から語らないだろうし、知られたくもないだろう。でも、だからこそ、彼女たちはシーズンを通して、高いパフォーマンスを維持できるのだ。
みなさんもぜひFOCS GYMへ、というつもりはない。北本自身、「来る者は拒まず、去る者は追わず」のスタンスだという。「気に入ってくれたら来ればいいし、違うなと思ったら他に行ってもらっても構いません」。
それでも多くのトッププレーヤーや近隣の高校、大学がFOCS GYMと契約を結ぶのには、それだけの理由がある。北本たちが選手たちのことを第一に思い、よりよいパフォーマンスをすることで、日本のスポーツが発展すると考えているからだ。Faithful(誠実で)、Optimal(最適で)、そしてCrucial(重要な)、Support(支援)。FOCS GYMは、その名に込められたとおり、「プレーヤーズ・ファースト」のスポーツジムである。
FOCS GYM https://focs.jp/gym/
文・写真 三上太