昨年も書いたが、Spiritsのベスト5は例年、リーグが選ぶベスト5(これを「本家」と呼ぶ)とは異なる選手を選んでいる。プレーオフのベスト5ではない。レギュラーシーズンのベスト5に対抗する、本家と対抗するチームを選ぼうというスタンスである。
今シーズンの本家ベスト5は、PGが宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)、SGが渡邉亜弥(三菱電機コアラーズ)、SFが赤穂ひまわり(デンソーアイリス)で、PFが谷村里佳(日立ハイテククーガーズ)、そしてセンターが髙田真希(デンソー)である。
なかなか手ごわい5人である。
そんななか、すんなりと決まったのはガード陣。町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)と安間志織(トヨタ自動車アンテロープス)である。どちらかといえば町田がPGで、安間にはSGに回ってもらいたいが、もちろん安間がプッシュをすることもできる。日本が目指すスピーディーなバスケットを展開できる2人である。加えて町田の安定したゲームコントロールとアシスト、安間の突破力と得点力がマッチすれば、宮崎&渡邉にも負けないツーガードと言っていい。
次に決まったのはSF。ベストトランスファー(移籍者)で谷村里佳と競り合った佐藤奈々美(日立ハイテク)である。トヨタ紡織サンシャインラビッツから移籍した今シーズン、その才能を一気に開花させ、出場した15試合のうち13試合でスタメン出場。平均得点がほぼ倍増の10.1得点。3ポイントシュートの成功率も28%から40%へと大きく上げている。最終盤にケガをして、彼女自身、消化不良のままシーズンを終えただろうが、今シーズンの日立ハイテクの躍進に彼女の存在は欠かせなかった。
PFは長岡萌映子(トヨタ自動車)で早々に決まった。富士通からトヨタ自動車に移籍した長岡は、以前ほどの爆発力こそ影を潜めたが、前年(2019-2020シーズン)に比べて、得点、リバウンドのスタッツが上がっている。チーム内での役割に徹し、チームのために、文字どおりオールラウンドに戦える選手へとステップアップしている。もちろん「点を取ってこい」と言えば、あの爆発力をいつでも見せてくれるだろう。
問題はセンターである。本家の髙田は文句なしの受賞だが、対抗馬として考えていた谷村までPFで持っていかれてしまった。トヨタ自動車の河村美幸も捨てがたいが、大先輩の髙田に対抗しうるだろうか……。と、1人があることに気がついた。「渡嘉敷は?」。なるほど、皇后杯で右ひざの前十字靭帯を断裂したため、その後はレギュラーシーズンも、プレーオフも出場はできなかったが、それまでの渡嘉敷はやはり別次元の力を見せつけてくれた。東京オリンピックへの出場も断念したそうだが、スピリッツはそんな渡嘉敷来夢をピックアップ。タクさん、ぜひウチのセンターになってください。
サッカー日本代表がA代表とU-24で対戦したように、来シーズン、もしオールスターが実施されるのあれば、本家ベスト5とスピリッツなベスト5で対戦してもらいたい。本家のヘッドコーチは「コーチ・オブ・ザ・イヤー」の梅嵜英毅(2021-22シーズンからライジングゼファー福岡)。スピリッツな5人を率いるのは……う~ん、読者のみなさん、誰がよいですかね???
文 三上太
写真 W LEAGUE