白鞘は兄が既に3×3.EXE PREMIERでプレーした実績があるが、自身は3×3に関しては「絶対に向いてない」と思っていたらしい。
「あまりボールを持ちたくないし(笑)、ディフェンスだけやっときたいタイプなんですよ。5人制とは違いすぎて、5人制の癖を出しちゃうと全然通用しないので、そういう新しいバスケットがすごく楽しいんですけど、癖を直していくのが大変です。具体的には、5人制だとボールに近づいたらダメ、コーナーに広がりなさいという感じだったのが、3人制だとボールに寄っていってスクリーンをかけ続けるみたいな感じ。そこで戸惑っちゃうというか、まだ全然わかってないですね」
9月14日の試合は、会場が東京・上野恩賜公園の噴水広場。直射日光を遮るものがない炎天下、FLOWLISHは事情により3人での戦いとなったため、白鞘はこの日の2試合とも10分フル出場だった。3XSでも同じ経験が1回あり、その際は2試合目以降を4人揃った状態で戦えたものの、この日は2試合目に敗れて決勝進出はならず。Wリーグ引退後も会社には残り、7月から一般の会社員として勤務しているという白鞘は、「今は仕事もしてて、なかなか体作りもできない」と反省しきりだった。
「普段外にいないし、どちらかというと日陰にいたいほうなので(笑)、キツかったですね。体力面も今回の敗因の1つだったので、そこも慣れていかないといけないなというのは感じてます。3人制をやってる皆さんはすごいなって思います」
ただ、3×3をプレーすることで嬉しい再会も果たしている。3XS開幕ラウンドでも決勝で対戦したMAURICE LACROIXには、日立ハイテクでチームメートだった鶴見彩が在籍。この日も1試合目で顔を合わせ、さらには、白鞘と同時に現役を退いた村山翠が2人の応援に駆けつけてもいた。「キャロ(白鞘)がバスケを続けてくれてるだけで嬉しい」と語る鶴見に対し、白鞘は「うちの髙橋さんと同じで、一つひとつのプレーをすごく考えながらやってて、3人制でも参考にしたいです」と敬意を払う。これからは、2人が対戦相手としてしのぎを削っていく姿も、従来のファンにとって新たな楽しみとなる。
今後に関しては「主は一応5人制のクラブチーム」ということだが、「どっちも頑張りたいんですけど、皆さん本気でやってるのに比べて、私は中途半端でダメだなって。5人制も好きなので、そっちも頑張りたいっていうわがままで今悩んでるところです」と明確な方向性はまだ見えていないようだ。しかしながら、Wリーグ引退前に「『来シーズンも頑張ってください』ってたくさん言っていただいた」という白鞘は、「応援してくれる環境がありがたいし、日常ではなかなかあり得ないことなので、できるうちは皆さんに元気なところを見せたいです」とバスケットへのモチベーションを高く持ち続けているところだ。
「将来のことはまだ自分でも定まってなくて、仕事をするのも初めてなのでそっちもしっかりしないといけないし、仕事をおろそかにしないでバスケとしっかり両立するというのが今の目標ですね。仕事もまだ始めたばかりなので、今はもう毎日必死すぎて(笑)」
文・写真 吉川哲彦