タフなゲームを制した白鴎大学が日本一
過去2年、王手を懸けるも苦汁を飲まされ続けてきた白鴎大学が、73-62で東京医療保健大学を破り、悲願の初優勝を果たした。試合後の記者会見にて、白鴎大学の佐藤 智信ヘッドコーチと東京医療保健大学の恩塚 亨ヘッドコーチは、開口一番「タフなゲームになることは分かっていた」と同じ言葉から決勝を振り返る。
過去2年、気負いすぎたことも敗因につながったと考える佐藤ヘッドコーチは、「数ある試合のうちの1試合だ」と選手たちを落ち着かせて試合に臨む。初めて決勝に進んだ東京医療保健大学は、「今までやってきたことと、自分たちの感性を信じてプレイして欲しい」と恩塚ヘッドコーチは選手を送り出した。
「3クォーターまでは予定通り進んだが、4クォーターでエネルギーを欠いてしまった」と敗因を挙げた恩塚ヘッドコーチのコメント通り、3クォーター終了時点では54-53。1点を追いかけて逆転を狙う東京医療保健大学だったが、4クォーターは9点しか奪えず、逆に白鴎大学は19点を挙げ、明暗が分かれる。白鴎大学の佐藤ヘッドコーチは、「前半に3Pシュートが決まったことで、後半になるとあまりヘルプが寄らずにディフェンスが広がったことで、ドライブからそのままレイアップに持って行けるケースが増えた」と話しており、ゴールに近づくことで確率良くシュートが決まり、勝利を呼び込んだ。
3度目の挑戦であり、4年生としてラストチャンスで日本一を手にしたキャプテンの上原 もなみ選手だったが、「あまり実感がなく、本当にこれで終わりなのかなという思いでいっぱいです」と涙を見せる。隣に座るエースの林 咲希選手も、「日本一になった実感はあまりないですけど、すごくうれしい気持ちはあります」とそれぞれ率直な感想を述べた。
下級生の活躍が光る両チームの日本一争いは始まったばかり
11点、10リバウンドの活躍で、チームに勢いをもたらせた3年生の星 香那恵選手は、「今年の(春の)トーナメントの最後の東京医療大学戦でとても悔しい思いをして、負けてしまったので……」と話し始めた直後、佐藤ヘッドコーチから「それは昨年の話」とツッコミが入る。しかし、今春に行われた関東女子のトーナメントを制したのは東京医療大学であり、白鴎大学は6位と振るわなかった。昨年の悔しさがまだまだ鮮明に残っている星選手は気を取り直し、コメントを続ける。「昨年のトーナメントで負けたときから、絶対に負けたくないと思っていました。東京医療保健大学と対戦するときはフィジカル強く行かないと負けてしまうので練習から準備してきました。それが最後の場面で、若原(愛美)さんがマークしてきたときにはじき飛ばしてレイアップに行けたことがうれしかったです」。よっぽどうれしかったのか、はたまた悔しかった昨年の試合や苦しい練習を思い出したのか、その後は言葉を詰まらせ、涙を流した。
NBAでは『ファイナルに進むまでが実力であり、優勝できるかどうかは運が左右する』と言われているそうだ。その言葉通り、どちらが勝ってもおかしくはない試合だったが、最後は経験値がほんの少しメリットとなり、これまでの苦労に対してほんの少し運が傾き、白鴎大学が初優勝を飾った。
両チームの14番を背負った1年生は先発メンバーを任され、初めてのインカレながら素晴らしい活躍をみせている。勝利した白鴎大学#14佐坂 樹選手は「この経験を生かして、また来年も優勝を目指す一員としてがんばっていきたいです」と連覇を誓った。敗れた東京医療保健大学#14岡田 英里選手は「この悔しい思いを忘れないで、絶対にインカレで優勝できるようにこれからがんばっていきたいです」とリベンジを目指す。両チームの日本一争いは始まったばかり。早くも来シーズンが楽しみである。
男子決勝・筑波大学vs東海大学戦は17:00TIP-OFF!BSフジにて生中継
11月27日(日)17:00より代々木第二体育館で行われる男子決勝は、3年連続同カードとなる筑波大学vs東海大学に決まった。結果として、第1シードの筑波大学が順当に勝ち上がった形だが、「1位であることを考えたら、決勝は勝てない」と吉田 健司ヘッドコーチは気を引き締める。2連覇している過去を振り返っても、「チャレンジャーとして臨んだ結果」であり、同じような意気込みで最後の東海大学戦に臨む。
対する東海大学の陸川 章ヘッドコーチは、「散々、先輩たちが悔しい思いをしてきたわけだから、このチームでリベンジしたい」と3年ぶりの王座奪還を目指す。この試合もBSフジテレビにて生中継される。
第68回全日本大学バスケットボール選手権大会
男女決勝戦はBSフジテレビにて生中継
文/写真・泉 誠一