大学日本一決定戦となるインカレも残すところ、あと2日。女子は3年連続となる白鴎大学と、初めて準決勝を突破した東京医療保健大学がそれぞれ決勝に駒を進めた。女子準決勝2試合を勝利したヘッドコーチのコメントとともに振り返ってみよう。
白鴎大学 85-58 大阪人間科学大学
白鴎大学のエース・林 咲希選手が26点、さらに星 香那恵選手は17点、高橋 芙由子選手も14点を挙げた。「林以外の選手たちもよくシュートを決めた」と佐藤 智信ヘッドコーチの計算通りにいったオフェンスが展開できた。常にドライブでペイントエリア内に進撃していく強気な姿勢でオフェンスに厚みが増したのが勝因となった。
3クォーターを終え、白鴎大学は61-37と大きくリードを奪う。最後の10分に向かう前、ベンチでは、「全部を出してこい」と発破をかける大阪人間科学大学の稲本 聡子ヘッドコーチに対し、白鴎大学ベンチからは笑い声が聞こえてきた。リラックスして臨んだ白鴎大学は、おもしろいようにシュートが決まる。佐藤ヘッドコーチは、「誰が出ても攻める姿勢を失わなかったのは良かった」とオフェンス面を評価する。さらに、「今大会で一番良いディフェンスをしてくれた」ことが素晴らしい流れを生み出し、快勝につながった。
東京医療保健大学 60-58 早稲田大学
手に汗握る好ゲームとなった。序盤は東京医療保健大学がリード。しかし2クォーター、早稲田大学は今仲 杏奈選手や田中 真美子選手がインサイドから得点を挙げ、逆転される。「フワッとなってしまうので、何度も言い聞かせるために呼び戻さないといけなかった」と、東京医療保健大学のビッグマン、ワン シン選手はベンチに下げられる度に恩塚 亨ヘッドコーチから細かい指導を受ける。
前半は29-31とリードを奪われていた東京医療保健大学だったが、津村 ゆり子選手の活躍で追いつき、そこからクライマックスまでリードが入れ替わる一進一退の攻防が続く。「こういう展開を狙っていた」と僅差のゲームを恩塚ヘッドコーチは望んでいた。
4クォーター残り5分、拮抗した展開を打ち破る平松 飛鳥選手の3Pシュートで、54-50と4点リードを奪う。しかしすぐさま、早稲田大学の中村 和泉選手に3Pシュートを決め返され、1点差。恩塚ヘッドコーチが言い続けていたことが実を結ぶようにワン選手、さらには藤本 愛妃選手がインサイドから得点を挙げ、リードをキープする。追いかける早稲田大学の3Pシュートはことごとく外れ、万事休す。「自分たちがやってきたことをしっかり試合に出せれば、勝てることが共有できた」ことを知れた大きな1勝は、東京医療保健大学に初めてのインカレ決勝への切符を与えてくれた。
決勝戦(14:00)白鴎大学 vs 東京医療保健大学「同じようなチーム同士の対戦」「リバウンド勝負」
「毎日同じような試合はできないが、今日の試合を自信にして決勝戦につなげたい」と言う白鴎大学の佐藤ヘッドコーチ。東京医療保健大学の恩塚ヘッドコーチは、「ここ(決勝)が目標ではない。良くも悪くもこの試合で学んで、決勝に臨みたい」と話し、好ゲームとなった準決勝をそれぞれ優勝に向けた足がかりとしたい。決勝へ向け、佐藤ヘッドコーチは「同じようなチームなのでやり合いになる」と言えば、恩塚ヘッドコーチは「リバウンドの勝負になる」とそれぞれ見どころを語っている。
リバウンドに関して東京医療保健大学は、「細胞が勝手に反応するかのようにリバウンドやルーズボールに行ければ本物」と究極まで突き詰めて練習している。体が勝手に反応すれば、リバウンド力で上回り、東京医療保健大学が初優勝に手が届くかもしれない。対する佐藤ヘッドコーチは断言する。「臥薪嘗胆。悔しさはうちの方が上」と、2年連続決勝で敗れている悔しさをモチベーションとし、3度目の正直で頂点を目指す。
ここまで来れば力の差はない。「優勝したい」、その気持ちが上回った方に勝利の女神が微笑んでくれる。
バラエティに富んだ男子準々決勝
昨年の男子準々決勝は近畿大学以外、全てが関東勢だった。しかし今年は関東勢の他に関西学院大学や、1回戦で昨年のベスト4チームである拓殖大学を破った名古屋経済大学が勢いそのままにベスト8入りし、バラエティに富んだ顔ぶれとなった。結果はいずれも敗れてしまったが、2017年1月2日より開幕する天皇杯(オールジャパン)への切符を手にしたとともに、順位決定戦が残っており、まだまだその活躍を見られる。
大学3冠、インカレ3連覇まであと2勝に迫る筑波大学は、青木 保憲選手の3Pシュートで勢いづき、95-59で名古屋経済大学を一蹴。専修大学は渡辺 竜之佑選手とアブ フィリップ選手が20点を超える活躍を見せ、88-66で関西学院大学を破り、8年ぶりとなるベスト4進出を決めた。
関東大学リーグを混戦にさせた白鴎大学と早稲田大学の両チームによる対戦は、どちらも譲らず接戦となる。4クォーター序盤は僅差ながらもリードを奪った早稲田大学がリズムをつかんでいた。しかし、追いかける立場になると力を発揮するのが雑草軍団・白鴎大学。一気に闘志に火を付け、逆転するとそのまま逃げ切り、72-67で接戦を制した。白鴎大学のベスト4進出は初となる。
4年前の決勝戦と同カードとなった東海大学vs青山学院大学戦。立ち上がりは安藤 周人選手の3Pシュートで引っ張る青山学院だったが、その後が続かず。東海大学はタイトなディフェンスから一気に流れを呼び込み、点差を引き離していく。3クォーター終了時点で20点差をつけた東海大学が、77-60で快勝し、6年連続ベスト4進出を決めた。
明日は準決勝。試合を重ね、勝利する毎にチーム力が向上している4強による熱戦をぜひ会場にてお見逃しなく。
16:50 白鴎大学 vs 東海大学
18:30 筑波大学 vs 専修大学
第68回全日本大学バスケットボール選手権大会
男女決勝戦はBSフジテレビにて生中継
文/写真・泉 誠一