昨年2部から昇格した早稲田大学は、関東大学リーグ戦を10チーム中5位で終え、復帰戦としては立派な成績を収めた。しかし、キャプテンの河合 祥樹選手は納得していない。強豪の拓殖大学や最終順位で上回られた4位の専修大学には2連勝を挙げた。しかし、入替戦へ回る明治大学と慶應義塾大学、同じく昨年昇格した日本大学に取りこぼしたことを悔やむ。
3年ぶりの1部リーグ戦を振り返るとともに、入替戦なき今年はすでにインカレを見据えて戦っている。
ー 2012年、1年生の時以来の1部リーグ戦を戦い終えた感想を聞かせてください。
結果として、もう少し自分たちが練習からしっかり取り組めていれば、もう少し勝ち星が多く狙えたし、順位も上位に食い込めたのではないかと正直感じています。2部から復帰しチャレンジャーとして挑んで結果、上位チームから勝ち星を奪えたことは、リーグを通して積み上げ、チームとして進化できた点だと思います。
ー 負けた試合から学んだことは何かありますか?
一番は相手がどうだったではなく、試合に向けた練習での準備が足りなかったことです。下級生も多く起用されるので、気持ちの波は激しいところがあります。どんなモチベーションであれ、ある程度の高いレベルをキープし続けて練習から準備させられなかったことが、この2ヶ月間の勝ち負けの波に出てしまいました。勝てる試合だったと思えた試合が、一番悔しいです。
ー 4年生は卒業してしまいますが、このリーグで得た経験を今後の早稲田にどう引き継いでいくべきでしょうか?
一番はプレイの面でも発言の面でも、影響が大きいのは3年生の力です。後輩ながら大きな存在だと感じています。4年生は当たり前のようにチームを引っ張っていきますが、その中で3年生がどこまで引き上げてくれるかが大学バスケでは重要です。4年生だけでチームを支えるという考えではなく、年々上級生として入れ替わっていくわけですから、下級生もしっかり自覚することを植え付けていくことが4年生の役割。それは今後も早稲田の伝統として代々引き継いでいってもらいたいです。
ー 昨年は入替戦で1部を目指すことが第1目標であり、結果として昇格とともにインカレ出場権が付いてきました。今年は順調に勝ち星を重ね、すでにインカレに照準を合わせて取り組めているのではないでしょうか?
リーグ戦も厳しい戦いになることは分かっていましたが、それでもやるからには「優勝」という高い目標を設定していました。しかし、結果として負けて行く中で、現実的な順位が見えてきてしまい、その都度目標をどんどん下げてしまった部分がありました。インカレも順位はつきますが、それは何の意味もなく、優勝でしか締めくくれない大会です。リーグ戦は次につながりますが、インカレは優勝が全て。チーム全員で日本一を目指して取り組んでいきます。
ー フィジカルが強くハードなディフェンスが、チーム改革の成功につながったように感じられましたが?
2部の勝てなかった時期は、「シュートが入らなければ落ち込む→もうディフェンスしない」という悪循環がありました。バスケは点数を獲るスポーツですが、点数が獲れない時にみんながフラストレーションを溜めて、ゲームが崩壊してしまった展開が多かったです。しかし昨年から、小さいチームだからこそ前からプレッシャーをかけるディフェンスが自分たちの生命線であるという考えに変わりました。相手を抑えてしっかり守り切ることができれば、良い形で自分たちの流れが来るし、速い展開からシュートを打てる。それを全員が共通理解として持つことができた時点から僕たちは変わることができました。ディフェンスをやっていれば、次につながる。前から当たることで自ずと自分たちに流れが来ると、意識が変わりました。そこが2部の頃とは一番違う点ですし、すごく良かったです。
ー ディフェンスのアグレッシブさがベンチに伝わり、盛り上がりも向上したように感じました。
練習中から学生が主体になるようにも変わりました。「スタッフに言われなくても自らやろう」ということが昨年からずっと徹底できています。やっぱり自分たちが盛り上げていかなければいけないという自覚を持つように変わったからこそ、今のベンチの盛り上がりがあるんだと思います。
ー 早稲田大学には洛南高校出身者が多いですが(プログラムに記載されたロスター17人中6人)、高校時代からともに戦っていることでのメリットはありますか?
「自分で考えてゲームを組み立てていく」という洛南で学んだ本質は大事にしています。でも、大学になってからも洛南の選手が多いからこそ難しい部分もありました。苦しい場面やうまくいかなかった時に、洛南のメンバーが多いことで早稲田というチームになりきれず、洛南同士の勝手なプレイになってしまうこともありました。そうなると他のメンバーも合わせられなくなってしまい、そのバランスを考えるのが難しい部分でもありました。
ー 今ではそこが払拭できているからこそ、チームディフェンスやオフェンスでのコンビプレイができているわけですね。
洛南出身というプライドは今後もずっと持ってプレイすることは大事です。でも、今は早稲田の一員であり、早稲田のバスケにしっかりと適応しなければいけないことをみんなに伝えました。その中で、洛南で培ったプレイを一つのプレイとして出すのは良いですが、土台は早稲田であるということを意識させる時がありました。洛南もいれば、京北もいる、福岡第一もいるなど、違うところからやって来たみんなで早稲田のバスケをしてくれるようになり、今は一つのチームとしてしっかりと戦えています。
ー 4年生であり、今後のBリーグでプロになる夢は持っていますか?
正直な話、プレイヤーとしての将来はそんなに考えていません。だからこそ、今打ち込んでいる大学バスケを最後のプレイヤー人生だと思って、しっかり噛み締めてやっていこうという考えです。自分の中での自己評価があり、Bリーグにはつながらないだろうと思っており、3年から4年になる時にその目標に対しては一区切りつけています。
ー インカレ優勝を目指せば、自ずとオールジャパン出場も視野に入っているはずですが、学生バスケ最後の目標は?
学生最後にBリーグのチームと戦いたいという目標はあります。オールジャパンも出たいですし、最後まで勝てるところまで勝ち進みたいです。
大学日本一を決める第68回全日本大学バスケットボール選手権大会は、11月21日(月)〜27日(日)まで、代々木第二体育館をはじめ東京都内で開催される。すでに組み合わせは発表されており、詳細は全日本バスケットボール連盟オフィシャルサイトにて。
また、インカレでベスト8に入ったチームが、年明けに行われるオールジャパン(天皇杯)への出場権が与えられる。
文/写真・泉 誠一