全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)2連覇中の筑波大学だが、なかなか関東大学リーグ戦を制することができずにいた。昨年は3位、一昨年は4位に終わっている。3度目の正直となった今年、16勝2敗の成績を収め、最終週を迎える前週に14年ぶり10回目の優勝を決めた。
リーグ戦途中にケガで一時、戦線離脱した筑波大学のキャプテン生原 秀将選手。直後の拓殖大学戦は142-86で圧勝したが、2巡目を迎えた10月2日の白鴎大学には足下をすくわれ、78-90で初黒星を喫した。2週間で復帰し、快進撃を続けて優勝に導いた。
大学3冠(春のトーナメント+秋のリーグ戦+インカレ)&インカレ3連覇を目指す、筑波大学の生原キャプテンにリーグ戦を振り返ってもらおう。
ー 10年ぶりのリーグ戦制覇おめでとうございます。昨年までの2年間はなかなか関東大学リーグ戦では勝てず、ようやく優勝できた今の心境を聞かせてください?
昨年、一昨年とインカレで優勝しましたが、リーグ戦は全然勝てなくて、勝てる試合でさえも落としてしまっていました。それが筑波の弱みであり、一番の弱点でしたが、そこを今年は一巡目からしっかり勝ち星を落とさずに戦うことができたところが良かったです。しかし、結果的に昨日の試合(10月29日東海大学戦は●57-73で敗戦)は集中が切れていましたし、まだまだ課題は多いです。この優勝も通過点にしか過ぎません。
ー リーグ戦中にケガに見舞われ、外からチームを見る中で、客観的に筑波大学の強さをどう感じていましたか?
1巡目は良かったのですが、自分がケガをした後、2巡目の1戦目(白鴎大学戦●78-90)で1敗目を喫してしまいました。そこは自分としても責任を感じています。ケガしたことで横からチームを見ていて、がんばろうとしている選手がいました。そういう選手が1人、2人と増えていったことでチーム力が上がっていくことを実感できました。
ー エースの馬場雄大選手もケガから復帰したばかりで本調子ではなかったことが、逆にリーグ戦を通して選手層の厚みを増すきっかけになったのではないでしょうか?
本当にそれは間違いないですし、選手層は上がってきています。今年だけで終わるチームではないですし、筑波はこれからのチームだと思っています。下級生がいかにリーグ戦で経験を積むかが大事でした。それができたことは本当に良かったです。
ー 春のトーナメントを優勝した後、満田丈太郎選手が、「長いリーグ戦はどうしても途中で緊張の糸が切れてしまう」と言ってましたが、そうさせないために何か特別なことはありましたか?
キャプテンとして、普段の練習からいつも以上に声を出すようにしていました。それは当たり前のことですが、このままでは昨年の専修大学戦(76-78で逆転負け)のような試合になってしまうとか、これまでの悔しい試合を思い出させて意識させていました。
ー 大学3冠、そしてインカレ3連覇まであと1つとなりました。
インカレ3連覇を目標にしていますが、それ以上に今年はオールジャパン(天皇杯)優勝に挑み、Bリーグのプロチームを相手に勝つことを大きな目標にしています。インカレで終わりではなく、さらに先に向かってチームとして成長できるようにしていきたいです。
ー 筑波大学としての強みは何でしょうか?
基本的にみんな仲が良いです。本当に仲が良く、普段からじゃれ合っているほどです。でも、練習とそれ以外の切り替えはしっかりできているので、そこがチームとしてコミュニケーションがしっかり取れている部分でもあり、チームワークはどこにも負けません。
ー 落ち着いたゲームメイクや3Pシュートで勢いをつけるプレイが印象的ですが、生原選手自身の強みは何でしょうか?
これというものが無いのがコンプレックスでもあります。全体的にバランスが取れてできていると思いますし、何よりも気持ちが強いといろんな方にも言われており、そこが自分も強みだと思っています。その強みをインカレではしっかり出していきたいです。
ー 将来的にBリーグを目指すにあたり、最後の大学バスケの中で、さらにレベルアップさせなければいけない点はありますか?
間違いなく今後はシュート力が大事になってきます。まだまだシュート力が足りないので、そこをもっと徹底していきたいです。オフェンスだけではなく、気持ちが強いというのが自分の強みである以上、ディフェンスやルーズボールでは絶対に他の選手に負けないようにしたいです。
大学日本一を決める第68回全日本大学バスケットボール選手権大会は、11月21日(月)〜27日(日)まで、代々木第二体育館をはじめ東京都内で開催される。組み合わせは11月3日(木)に発表。詳しくは全日本バスケットボール連盟オフィシャルサイトにて。
また、インカレでベスト8に入ったチームが、年明けに行われるオールジャパン(天皇杯)への出場権が与えられる。
文・泉 誠一 写真・安井 麻実