「埼玉で一つ抜けたいですね。少し前に山村学園さんが全国3位というのがありましたが、埼玉のチームは最近勝ててなかったので、山村さんに続いていけるように。留学生がいっぱいいる中でベスト8というのはなかなか難しい時代ですが、今年のチームは本当にそこを狙えるチームだと思ってますし、地元の選手が多い中で、留学生のいるチームにも勝ちきることで埼玉の力を見せたいと思います。昌平高校もしっかり地力がついてきて、特に今年のチームに関しては関東大会で3位になったり、U18関東ブロックリーグで準優勝したりしてますので、ただ大きい大会に出るだけでなく、しっかり勝ちにいけるチームになってきてると思います」
今回のウインターカップの登録メンバー20人のうち170センチ以上は6人と、全国レベルでは必ずしも大きいチームではない。それでも、2回戦の日本航空石川高戦も留学生を上手く抑え、29点差という会心の勝利だった。ある意味では、日本が世界と互角に渡り合うためのバスケットを体現したようなものでもある。加藤コーチが選手たちの可能性を信じて指導してきた賜物と言っていいだろう。
「身長があまりにも小さいので(笑)、なかなか陽の目を見ないというか、選抜チームとか代表までは呼ばれない選手たちなんですが、日本代表もガードは小さいですし、サイズがなくても戦えるぞというところを見せられるチームなのかなと思ってます。卒業した後も、彼女たちには頑張ってほしいと思います」
勝てばベスト8進出となる3回戦は、第1ピリオドでリードを奪いながらも後半に失速し、慶誠高(熊本)に60-77で敗れることとなったが、その慶誠は最終的に決勝まで勝ち進み、3連覇を狙った京都精華学園高を相手に5点差という大熱戦を演じてみせた。この結果は、昌平というチームに希望を与えるものでもあったに違いない。ベスト8の目標は叶わずとも、限りなく近づくことはできたのだ。
ちなみに、これまで加藤コーチが育てたWリーグの選手は津村ゆり子(東京羽田ヴィッキーズ)ただ1人。津村が3年生のときは、岩崎ゆみこ(現・競輪選手)のケガさえなければ「本当はインターハイに行ってるはずだった」と加藤コーチも振り返るほどのチームだったというが、加藤コーチは全国の舞台で2勝を挙げた今年度のチームの選手たちにも「津村に続いてくれると嬉しいですね」と期待を寄せる。157センチという身長ながら2回戦で20得点、3回戦で慶誠から27得点を奪った成田は、その可能性を大いに感じさせるポテンシャルの持ち主。次なるスターを生むことができるか、昌平の挑戦はこれからも続く。
文・写真 吉川哲彦