2026-27シーズンからはじまる『B.革新』へ向け、2026年1月にはじめてのドラフトが実施される。対象となるのははじめてプロとなる選手、これまで特別指定で登録実績がある選手。来年卒業を迎える現在大学3年生がドラフト・エイジと言える。日本一を決めるインカレを踏み台とし、少しでもクラブの目に止まるためにアピールする選手もいれば、プロ志望はあってもドラフトはまだ考えていない3年生も多くいた。
白鷗大学の網野友雄監督は「ドラフトされた方が、インパクトがある。年俸保証や3年契約などのメリットも大きい」と3年生たちには伝え、もう1年大学で成長させる思いは強い。一方、ドラフト導入により、これまでのような選手の選択肢がなくなる。「3年生だけではなく、下級生も含めて今年で抜ける選手が増えるかもしれない」と心配するのも無理はない。「インカレ後にどうするかを真剣に考えたい」と答える選手もいた。
ドラフトがはじまっても、特別指定選手制度は残る。今年のインカレで4位と躍進した名古屋学院大学の竹之下秀樹監督は、「特別指定でプロに行ったことで意識が変わった。それによってチームが引っ張られた」とこの制度を歓迎する。#14 永野威旺は昨シーズン、B2だった新潟アルビレックスBBでプレー。プロの環境で学んだワークアウトなどを名古屋学院大学に還元し、仲間たちのレベルアップにつながった。竹之下監督は選手たちにはこれまでも伝えていたが、プロに触れたことで自分事として理解し、その変化が見られている。
「体のことや食事を意識するようになりました。うちは寮がないので、プロに行くために『その部分を自分でできるようになった選手が強い』とは、常日頃から男子にも女子にも言っています。我々の管理外を自分でコントロールしなければいけない。特にこの世代は面倒くさいと思ってしまいがちですが、食事に関する指導もまわりの方を紹介してもらいながら少しずつ意識を変えています」
幸い名古屋界隈には複数のプロクラブがあり、練習試合などの交流も行っている。胸を借りるだけではなく、「彼らと戦うにはどうしなければいけないか」と常に頭を使わせてきた。「自分で考えて、自分から動くことが大事。我々はそれを後押しし、お膳立てするだけ」という竹之下監督の準備がベスト4の結果として実を結んだ。