対する東海大学は、今シーズンから新たに210cmの #25 ムスタファ ンバアイを迎えた。入学まもない春先はまだまだチームにフィットしきれず、プレータイムもスタッツも思うように残せていない。しかし、ンバアイが少しでも良いプレーをすれば、チーム全員が盛り上げていたのが印象的だった。「彼が東海大学のキーになっています」とハーパーは述べ、福岡第一高校の後輩に目をかける。
「自分たちの持ち味は硬いディフェンスからリバウンドとルーズボールであり、そこを大切にしています。他の大学の留学生はルーズボールにあまり飛び込まないこともありますが、ムスタファにはルーズボールやリバウンドといった泥臭いプレーをし続けることを常に言ってきました。そこをがんばることで勝利に近づくことができます」
東海大学カラーに染まりはじめたことで、リーグ戦では見違えている。「ムスタファがいることで昨シーズンの弱みだったリバウンドが強化されました。ディフェンスでもムスタファがカバーしてくれるので、すごく助かっています」というハーパーとともに、専修大学戦は揃ってチームハイの15点を挙げて勝利に貢献した。
「試合の流れを読むことや止まって1本オフェンスを作ることはしっかり学んできました」東海大学 #3 ハーパー ジャン ローレンス ジュニア
4年生の淺野とハーパーにとってはネクストレベルへつなげる大学でのラストシーズン。「ガードとしてバスケIQを高めることができています。高校の頃は自分がボールを持って突っ走っていたプレーが多かったですが、東海大学で試合の流れを読むことや止まって1本オフェンスを作ることはしっかり学んできました」とハーパーにとっては学びの多い4年間だった。持ち味であるスピードと大学で学んだバスケIQで状況を見極め、集大成としてすべてを出し切って勝利へ導く。
淺野は「チームを勝たせられる選手になりたい」と目標を掲げた。「チームを勝たせることが自分自身の価値を上げることになります」と言い、千葉ジェッツの富樫勇樹を手本とする。昨シーズンは三遠ネオフェニックスなどBリーグを経験し、日本人選手と比較しても高さでは遜色ないことも実感できた。「Bリーグへ行けば、ビッグマンやフォワードの外国籍選手とマッチアップすると思うので、リーグ戦で体を張って戦うことが今後につながるとも思っています」とチームの緊急事態もプラスに捉えている。
4年間大学バスケを全うした選手と、昨今増えている卒業を待たずにプロへ進んだ選手のどちらが成功をつかむのか ── その答えが出るのは数年後であり、それぞれが選んだ道が正しかったことをコート上で証明し続けるだけである。
文・写真 泉誠一