情熱を傾けすぎれば、その反動で冷めてしまうのも致し方ない。だが、松下も他の愛知大学のメンバーも、バスケ愛は冷めていなかった。負けず嫌いが復活し、1部を主戦場とする昨年からインカレ出場へと方針を変え、1年目でその切符を手にする。
「いざ、大学バスケでプレーしていくうちに物足りなさも感じていました。1年のときに1部に上がったことで気持ちが変わり、真剣に練習していくうちに自分の得点力も上がっていきました。それがモチベーションにもつながって今があると思います」
2年連続2回目の大舞台だが、1年ぶりの初戦はさすがに緊張していたそうだ。代々木第二体育館での新潟医療福祉大学戦はスタメンの名前が呼ばれ、一人ひとりコートに入っていく。いの一番に名前を呼ばれた松下だが、「選手入場のようなことがはじめてだったので、どうして良いか分からなかったです」と、どこまでコートに入って良いのか迷っていた姿が初々しい。しかし、プレーがはじまれば、物怖じすることなく積極的にゴールを狙う。昨年感じた全国大会の楽しさや悔しさを糧に、この1年間練習してきた成果を2度目のインカレにぶつけている。
「自分の持ち味はドライブであり、それがあるこそのスリーポイントなので、もっとチームに影響を与えられる選手、得点を取りに行くところにもっとこだわってがんばりたいです」
得点力が魅力の松下だが、跳ねるようにドリブルを突く身体能力の高さは、元富士通レッドウェーブ、3×3日本代表として東京オリンピックに出場し、5人制でも日本を代表した篠崎澪さんのプレースタイルにどこか似ていると感じた。次戦は12月6日 10:30より、シードで待つ松蔭大学と対戦する。そう、篠崎さんの母校と相まみえるのも、何かの縁かもしれない。
「今まで関東のチームと対戦したことがなかったので、もちろん強いのはわかっているからこそ、今の自分たちの力を試すチャンスでもあります。どんな相手でも挑戦者という気持ちは変わりなく、全力で力を試す意味でも対戦してみたいです」
文・写真 泉誠一