その状況に対し、岡本は「3年生以下にもすごく良い選手がいっぱいいて、一緒に練習していてもこれからが楽しみです」と心配はしていない。樋口も「練習では先輩後輩関係なく思いっきりプレーし合っています。1年生が4年生にどんどんぶつかってきますし、自分たちも結構必死なぐらい激しく練習しています。誰が出ても、このチームにとっては戦力になると思っています」と胸を張る。1・2年生チームで臨んだ第13回関東大学女子バスケットボール新人戦では東京医療保健大学が優勝、白鷗大学が準優勝としっかり結果も残している。
12月2日より開幕するインカレ(第75回全日本大学バスケットボール選手権大会)へ向け、両キャプテンはチーム力を高め、もう一段階レベルアップさせる厳しい1ヶ月がはじまる。短期決戦ゆえに、チームを勢いづかせる新たなヒロイン誕生も楽しみだ。
7連覇へ向かう東京医療保健大学、代々木第二体育館の怖さを克服したい白鷗大学
インカレ6連覇中の東京医療保健大学であり、過去4年間はいずれも白鷗大学を下して日本一になった。「インカレで優勝することが目標であり、やっぱりインカレで勝たなければ意味がないことは、この3年間を決勝で負けてきたみんなが思っていることです」と樋口をはじめとした白鷗大学の4年生にとっては、悔しい思いを晴らすラストチャンスに懸ける。
昨年もリーグ戦で敗れた東京医療保健大学だが、最後の日本一の座は譲らなかった。「インカレにつなげるリーグ戦でもありますが、もちろん全勝優勝という目標がありました」と岡本は言い、この結果はやっぱり悔しい。白鷗大学だけではなく、筑波大学にも1敗を喫しており、「残り1ヶ月でどれだけチームを鼓舞しながら良い練習を毎日できるかがすごく大事になります。1人ひとりの温度差がないように、インカレに向けてみんなで強い熱量を持って臨めるような声がけをしていきたいです」と岡本はチームをまとめ、7連覇へ向かって照準を合わせる。
優勝を決めた代々木第二体育館だが、白鷗大学にとっては「いつもここで負けていたので、試合前も結構怖いね、と話していました」と樋口は言い、過去3年間のインカレ決勝で東京医療保健大学に負け続けてきた舞台はあまり良い思い出がない。
「でも、その怖さを克服できるぐらい1ヶ月間練習して、良い状態でまたこのコートに帰って来られるようにしたいです。代々木で借りを返せるようにがんばります」
ライバルの白鷗大学について岡本に聞けば、「試合に出ているメンバーとは、1年生のときからずっとマッチアップしているイメージがあります。ライバルだけど仲間みたいな意識もすごくあります。平和とは『本当にマッチアップしたくないね』とも話しています。敵として試合をするのもあと1回しかないので、楽しんでプレーをしたいという思いがすごくあります」と本当に仲が良い。リーグ戦が終わったコート上では、チームの垣根を越えた仲間たちの輪がそこかしこに広がっていた。
文・写真 泉誠一