全員揃った5位専修大学の巻き返し
開幕前からケガ人等が相次いでいた専修大学だが、9月20日の筑波大学戦でようやく全員が揃った。その試合は相手を56点におさえ、74点を奪って完勝。直近のホーム開催となった早稲田大学戦も81-50で勝利し、7勝2敗で現在5位。2敗しかしていない専修大学の上に、まだ4チームもいる混戦状態となっている。14チーム総当たりの1巡目も残り5試合。アダストリアみとで開催されるラスト2ゲームは10月8日に2位・日本体育大学、翌9日は4位・日本大学との直接対決が待っている。戦力が揃った専修大学が順位を上げるためにも、負けられない戦いが続く(※順位は9月23日現在)。
筑波大学戦で戻ってきた一人である #3 當山修梧は、「熱が40度くらい出てしまいました」と体調不良が原因だった。復帰戦は3アシスト、3リバウンド、2得点。「ディフェンスも良かったですが、1番はリバウンドを結構獲れていました。それが勝利につながった感じです」と話すとおり、當山の飛び込みリバウンドも勝利を引き寄せた。
#13 クベマ ジョセフスティーブや #97 ジョベ モハメドらインサイド陣が、献身的に身体を張ってボックスアウトをする。その働きを無駄にせず、確実にチャンスをもぎ取るためにも全員がリバウンドに入るのが基本である。飛び込みリバウンドについて話を振れば、「もうメチャクチャ意識してます」とチョンマゲが縦に揺れる。
「専修はプッシュしてブレイクを出して攻めるスタイルです。インサイド陣がリバウンドを獲ってから攻めるのももちろんなんですけど、やっぱりガードがリバウンドを獲ってそのままプッシュするのが、攻撃の中では1番強いんじゃないかなって思います」
自らの武器であるスピードを、より上げるためでもある。専修大学のスタイルと同じく、堅守速攻は福岡第一高校時代から「まさに身体に染みついていますし、クセになっちゃってますね。それこそ高校時代はハーパー(ジャン ローレンス ジュニア / 東海大学3年)と一緒にプレーしてきて、やっぱりポジションに関係なく全員でリバウンドに行き、特にガードが飛び込んでボールを獲ってそこからブレイクに持っていくスタイルでした。そこはもう(福岡)第一さまさまですね」というベースが今に活きている。
専修大学へ進学した決め手は、そのディフェンス力を買われてなのか、逆にそのディフェンスを活かしたいと思ったのか?
「どちらでもないです。高校でバスケを辞める可能性は全然ありましたし、違う道を考えていました」
奇跡が起きた一本の電話
高校2年時にケガをしたこともあり、復帰した3年になっても大学からオファーが届くことはなかった。仲間たちの進路が決まっていくなか、なかなか声がかからない當山は「トレーナーの道に進もうかな」と漠然と考え、高校でバスケは終える決断をしなければいけないとさえ思っていた。そんなとき、福岡第一高校の井手口孝監督のもとへ一本の電話が鳴り、「専修大学の監督さんから声をかかったよ」と吉報が届く。
即答で専修大学入りを決めた當山だが、実は「全く分かっていなかったし、名前すら分からんくて…」と苦笑い。福岡でバスケに明け暮れている高校生にとって、遠い関東の大学を知らないのも無理はない。自ら調べると、福岡第一高校のひとつ上の先輩である「スティーブさんがいるし、赤嶺(有奎)さんは同じ沖縄出身の先輩がいる」ことを知り、専修大学でのプレーを心待ちにしていた。