昨年のインカレやリーグ戦を経験していればイメージがつき、最上級生となる2年生としてその経験を活かすこともできる。だが、昨年のインカレメンバーに1年生は入っておらず、経験がない選手たち。得点王とリバウンド王に輝き、敢闘賞を受賞した #97 ジョベ モハメドもまだ1年生。「ゲーム体力的なことも含めて不安要素はありました」と高橋氏は心配していた。「1年生にとっては本当にきつい大会だったと思います。(介川)アンソニー(翔)も疲労が溜まって、パフォーマンスが落ちていたのが目に見えて分かりました」というのも致し方ない。
「本当に大ケガが出なくて良かったですが、やっぱり日に日に小さなケガは出ていました。その中でも選手たちはよく戦ってくれていました。でも、ちょっと危険な状態でした」
この7連戦を治験とし、「今後の医科学会でも検証して、来年の新人インカレがもっと良い大会にできるようにしていきたいです」と高橋氏は提言していく。これまでU18やU19日本代表のトレーナーとしても帯同し、今年のFIBA U19ワールドカップで前人未踏のベスト8に進んだ選手たちを支えてきた高橋氏。FIBA大会同様に、「途中1日でも休息日があれば、また少し違いました」と提案する。試合経験を増やすため、リーグ戦を採用する素晴らしい今大会。例えば、24チームを3チームずつ8つのリーグ戦に分け、2試合総当たりの1位が準々決勝に進むなど、新人チームだからこそシードをなくして、対等のレギュレーションにしても良いだろう。「今大会はシードで準々決勝から出場した4チーム中3チームが初戦で敗れています。そこも考えものです」と高橋氏は指摘する。
唯一、7戦を戦ったからこそ得られたメリットもある。高橋氏は「もうやりきったという達成感と、良くも悪くも7連戦した実績を作った部分ですね。関東新人戦の結果により予選から這い上がらなければならず、最後は優勝に届きませんでしたが、最終日にファイナルまで行けたことは大きな自信になったはずです。もちろん7連戦して、最後に優勝できれば良かったですが、でも本当に選手たちはよく戦ってくれました」と無事に終えたことに一息ついた。
今大会へ向けた「練習試合でも、1回も全員が揃ったことがなかった」と佐々木監督は振り返る。チームとして熟成されないまま開幕戦を迎え、「月曜日はまだまだチームとして方向性が定まらず、一体感もまだない状況だった。でも、1試合1試合を積み重ねるごとにそれぞれの役割や、チームとしての方向性や一体感が少しずつ出てきて、成長は感じられていた」と7連戦も前向きに取り組んだことで、ファイナルまで勝ち進むことができた。
「選手たちにとっても自信につながった。8月にはもうリーグ戦がはじまり、その先のインカレを見据えても、この1・2年生から1人でも多くフルメンバーの中に絡んでいってもらいたい。この悔しさを糧に下の世代から押し上げて、もっともっとチームとしての力を引き上げてくれることに期待したい」(佐々木監督)
文・写真 泉誠一