「私自身は4月からコーチさせてもらっていますが、チームとしては新人戦で東福岡に負けていたので、どうしてもリベンジを果たしたくて、頑張らせていただきました。昨日の準決勝は最後の方がよくなかったんですけど、選手たちがしっかりと切り替えて今日(3位決定戦)に挑めたので、よい試合だったと思います。」
目指すディフェンスからのトランジションバスケットは、それについて一家言を持つ福岡第一にまだまだ及ばないが、八女学院は留学生を含めてほとんどが下級生。経験を積む年と考えれば、その伸びしろは大きい。むろん福岡県という土地柄を考えれば、負けてもいいとは、口が裂けても言えない。そこはロスター唯一の3年生、#60 淺田竜輝がオフェンスで奮闘する。フィジカルが強く、果敢なアタックを見せる一方、そこからシュートもパスも選択できる柔軟さを持ち合わせる淺田。ただ、だからこそ、その淺田に頼りすぎているところがあると蒲澤コーチも認めている。
「今は結構、浅田に頼りがちなところもあるので、他のメンバーも点が取れるように練習の中で組み立てているんです。でもやっぱり淺田に頼りがちですね」
福岡県を2強が席巻する今、3位を保つことは、他力本願ではあるが、ウインターカップ出場の可能性にもつながる。ただ、それでいいとは、蒲澤コーチも思っていない。
「本当に第一と大濠を倒さないと全国に出られないので、彼らを目標にはしています。もちろん、現状を考えたときに、3位でも出場の可能性はあるので、それに向けた準備もしていますけど、やはり3位で出るのと、1位で出るのでは全然違います。しっかりと福岡県代表の座を勝ち取って、全国に出たいという気持ちはあります」
東福岡と八女学院が、今後、バスケ王国・福岡を揺るがす存在になりうるのか。それとも2強がその追随を全く許さないのか。福岡県の男子はやはりおもしろい。
3強の3番手に後退、巻き返すルーキーの誓い
女子の3位決定戦を制したのは福岡大学附属若葉。筑紫女学園を相手に95-59の完勝である。しかし彼女たちのハイライトは前日の準決勝、精華女子とのゲームだろう。
1年生3人 ── #9 太田妃優、#11 高木楓夏、#15 鈴木瑚香南 ── をスタメンに起用しながらも、立ち上がりから10-0のランを見せるなど、ペースを握っていた。
誤算だったのは、池田憲二コーチが「留学生とのマッチアップに慣れている」と太鼓判を押す鈴木がファウルトラブルに落ちったことと、精華女子のバックアッププレーヤー、#9 中釜光来と #10 吉村謡に乗られたこと。
「最初に鈴木のファウルが込んだところからリズムがおかしくなったんだろうな。それでも途中でインサイドにこだわりすぎて、ミスが続いたから……こだわらないで普通にバスケットやっておけばよかった。それは俺のミスかな。ディフェンスとしては10番(吉村)のトリッキーなプレーにやられすぎたな。新人大会のときはエントリーも入ってなかった子だからね。立ち上がり、10-0でリードしているときも突破されたのもその子だし、後半の始まりでもやられたし……彼女にやられたよね」
ペイントエリア内の争いでファウルトラブルが起き、想定外の選手に崩される。それでも福岡大学附属若葉が5点前後のリードを保ちながらゲームを推移させていた。
しかし第4クウォーターの残り1分27秒で逆転されると、同点に追いついてオーバータイムに持ち込んだが、覚醒した精華女子 #44 アキンデーレ タイウォ イダヤットにペイントエリアを制圧され、北海道インターハイへの道を閉ざされた。
「1年生に依存しすぎたかな……だけども依存させる上級生もいかんし。もうちょっと1年生を楽にさせてやっていれば、うまくいくのになと思いながら……」