バスケ王国だからこそのファイナル ── インターハイ2023の福岡県予選を見て(1)より続く
男子は福岡第一が、女子は精華女子が、それぞれインターハイの出場権を獲得した福岡県。あと一歩のところで敗れはしたものの、福岡大学附属大濠と東海大学付属福岡も収穫と課題を得て、冬に向けた “熱い” 夏をそれぞれの体育館で過ごすことになるだろう。
しかし、バスケ王国・福岡を支えているのは、それら4校だけではない。
現状だけを見れば、確かに男子は2強状態が続いている。しかし今回の県予選でベスト4まで勝ち上がってきたのは、昨年のウインターカップに福岡県3位として出場した八女学院と、ラグビーやサッカーの強豪校としても知られる東福岡。2強との差はまだまだあるが、その2強も創部からずっと強かったわけではない。ここからが彼らの正念場になる。
女子に至っては3強である。上記の2校に加え、福岡大学附属若葉がそれに当たる。また今大会を4位で終えた筑紫女学園もさることながら、その筑紫女学園に延長の末に敗れた中村学園女子は5月に新体育館が完成し、3年に及ぶ “ジプシー生活” にピリオドを打っている。3強がリードしつつも、虎視眈々と下克上を狙うチームもある。
来年、2024年には福岡県でインターハイがおこなわれるし、思惑が交差していそうでおもしろい。
2強を脅かす存在になれるか
男子・準決勝で福岡大学附属大濠と対戦した東福岡。結果的には62-84で敗れるのだが、前半を終えたときには33-36と食らいついていた。チームを率いる鈴木康平が言う。
「大濠さんとは今回で3回目の対戦になるので、自分たちは準備してきたつもりだったんですけど、やはり後半勝負になるのかなと……フィジカルと高さの部分にちょっと対応できなかったです。ただ、うちの選手たちすごく頑張ってくれたというのが率直な評価です」
3点ビハインドで迎えた後半は、もうひとつオープンな状況を作り切れず、またアタックで得たフリースローも精度を欠いたため、その差を広げられた。それでも現状の運動能力を彼らは強豪相手にも十分に出し切った。そこからの状況判断、特に福岡大学附属大濠がアジャストしてきた、もうひとつ先の判断は、鈴木コーチも課題に挙げていたが、少なくとも2強に風穴を開けたいという意欲は感じられた。
「ウチの学校はいろんな競技が強いので、いろんな先生方から助言もいただきますし、『戦う前から大濠や第一とできれば、というレベルではなく、彼らを倒すようにやっていかないと結果は出ないぞ』ってずっと言われているんです。ただ選手たちがどうしても受け身になる分、僕がもっともっと鼓舞して、『お前たちは戦えるんだぞ』って、もっともっと言っていかないといけないと思っています」
言われてやるうちは本物とは言えない。しかしコーチの鼓舞であっても立ち向かって、結果に繋がれば、あるいはそこから自信が生まれ、言われなくても戦える伝統を築けるかもしれない。
「今度やったときには、これよりももっと差を縮められるように……2チームが『東(福岡)は嫌だな』って脅威に感じれるように、練習をしていかないといけないと思っています」
もうひとつの準決勝で福岡第一に80-115で敗れたのは八女学院である。終始、福岡第一にペースを握られ、80点を取ったとはいえ完敗だった。前半だけとはいえ、福岡大学附属大濠に食らいついた東福岡には新人大会でも負けているし、翌日の3位決定戦も厳しいゲームになることが予想された。
しかし、ふたを開けてみると101-75で八女学院の完勝。4月から就任した蒲澤琢巳コーチの下、チームは立て直しに成功したといえる。