「打って良いよ。オレが全部リバウンド獲ったるから」田中流嘉洲
関東大学バスケットボール新人戦の決勝へ駒を進めたのは、大東文化大学と筑波大学。大東文化大学は準決勝の日本大学を88-71で退けたのをはじめ、いずれも二桁得点差をつけて勝ち上がってきた。対する筑波大学は、3回戦の江戸川大学戦は2度の延長の末、99-94で辛くも勝利をつかむ。その後も相手に先行される戦いが続き、苦しみながらも逆転勝利してきた。決勝も同様に大東文化大学がリードし、第3クォーター終了時点では43-59、筑波大学は16点のビハインドを背負う。しかし、最後の10分間こそ筑波大学の時間帯であり、これまでの逆転劇を信じる仲間たち。残り6分、#6 副島成翔がリバウンドをねじ込み53-62、一桁点差に迫る。
追われる大東文化大学は試合前も、試合の途中でも呪文のように唱えてきたのが「リバウンドを取り切ろう」だった。#39 アブドゥレイ トラオレが17本、代わって入った1年生の #99 バラダランタホリ玲依も9本、その約束事に徹する。#9 田中流嘉洲は、準決勝の日本大学戦の試合中に「打って良いよ。オレが全部リバウンド獲ったるから」と吠えていた。決勝でも変わらずに12本のリバウンドを拾い、勝利を呼び寄せる。シューター陣にとってその言葉は「心強かった」という #70 髙橋諒が、3ポイントシュートを決めて突き放す。74-62で勝利した大東文化大学が、2年ぶり2度目の優勝に輝いた。
7月10日より東京で開催される第1回全日本大学バスケットボール新人戦(以下新人インカレ)へ、優勝した大東文化大学をはじめ、関東から上位8チームが出場する予定だ。
昨年、プレ大会として行われた新人インカレで優勝を飾った大東文化大学だが、髙橋はベンチに入ることができなかった。今年の新人戦でようやくプレータイムを与えられ、決勝では17点を記録し、勝利に貢献。人生初の優勝を経験した直後、「ありがたいですが、まだ実感がわいてなくて…」と戸惑う。試合を振り返ってもらえば、「途中苦しい展開もあって、ガマンの時間が長く続きました。でも、やっぱり最後はガマン強く戦うことでき、大東らしさを出せたと思います」と自信に満ち溢れていた。東海大菅生高出身の髙橋にとっては、これまた人生初となる全国大会。「思いっきりプレーしたいです」と、新人インカレを楽しみにしている。
「自分のプレーができれば僕たちはどこにでも勝てる力はある」
田中にとっても、キャプテンを任されたのは人生初。5月は日本学生選抜として、李相佰盃日韓学生バスケットボール競技大会に出場していたため、「チーム練習も5回ほどしか参加できなかった」という。仲間と一緒に過ごす時間が少ない中で、どうチームをまとめれば良いか悩む時期が続いた。チームのキャプテンである4年生の菊地広人の力を借りながらも、「最初はストレスが溜まったり、自分のプレーができなかったりした時間が多かったです。でも、大会を迎える最後の最後には、キャプテンとしての役割もそうですが、自分のプレーをチャレンジしていかなければダメだと思いました。どちらも伸ばしていく考えで大会に臨み、この結果になったので良かったです」と成長する機会になった。