「人思いで仲間思い」「自己犠牲を一番できる選手」
「おもしろい話ですが、彼が小学校のときに私はビッグマンキャンプ(※JBAが長身者を選抜し、キャンプを通じて心身ともに育成するジュニアエリートアカデミー)で教えたのですが、小学校のときからあのまんま。今、一緒のチームでバスケができているのがおもしろい。小学校6年のあのときから、ほとんど身長も変わってませんからね(笑)」
東海大学の陸川章監督が目を細め、大笑いしながら回顧するのは4年生の #4 小玉大智。東海大学の卒業生である鶴田美勇士(現・アルティーリ千葉)や中村碧杜(現・日立金属ブルドッグス)ら、190cmを越える中高生が名を連ねていた第1回ビッグマンキャンプが実施されたのは2012年。ちょうど10年前のことだ。その中において、小学校6年の小玉は最年少ながら、大きなお兄さんたちを相手に揉まれてきた。概要を見ると身長基準が明記されており、小学生は180cm程度とある。メンバー表に記載された当時の身長は177cmで、なんとかクリア。その後の数ヶ月で「小学校のときに180cmになり、今は185cm。中3で止まりました」という小玉大智は小さなビッグマンだ。
陸川監督がいう「小学校のときからあのまんま」というのは身長だけにあらず。「坊主にヘッドバンドも変わってません!」というキャラクターは10年前、すでに確立されていた。その後、全国大会を制した実践学園中学校でも、実践学園高校に上がったウインターカップでも変わらぬスタイルを貫いてきた。
小玉の代名詞であるヘッドバンドは現在5〜60本を所有。大学4年になり、「東海のチームカラーである白と青を15本ずつ親に買ってもらいました」というあどけなさも小学校の頃と変わらぬまんま。見た目こそ変わらぬが、年齢とともにさまざまな経験を積み重ねてきた大学4年生。実践学園の後輩である #25 江原信太朗や #3 ハーパー ジャン ローレンス ジュニアらと一緒にバリカンでお互いの髪を刈り合い、気合いを入れて最後のインカレに臨んでいた。ハーパーは「自分が使っているヘッドバンドは全部小玉大智のです。明日のユニフォームが青なので、ヘアバンドも青に揃えようとさっき言ってきたのでまた借ります。それで、決勝も絶対に勝ちます!」と誓ったとおり、白鷗大学に54-51でねばり勝ち、頂点に返り咲いた。
有終の美を飾った小玉のラストゲームは12分40秒出場し、2点、2リバウンド、1アシストのスタッツを残す。同じカードだった昨年はベンチにこそいたが、出場機会はないまま敗れている。