これまでケガなどで出場機会がなかった3年生の #16 西田公陽にとっては、今回が初のインカレとなる。激しいディフェンス勝負であり、ロースコアゲームでも10得点を挙げてチームを勢いづけた。東海大学もディフェンスを信条としており、「入りが良かった分、苦しい展開が途中続きましたがディフェンスでガマンして、本当にガマンし続けた結果、優勝することができたと思っています」と西田が言うように、東海大学のスタイルを貫いた。シックスマンとして、同じく3年生の #0 黒川虎徹と #1 元田大陽も安定した活躍を見せ、最上級生となる彼らが連覇へ向けて新チームを引っ張って行く。
2年生たちの目覚ましい活躍が東海大学を躍進させた。#3 ハーパー ジャン ローレンス ジュニアはあきらめずにボールを追いかけ、幾度となくチームを救ってくれた。白鷗大学との決勝戦、第4クォーターの立ち上がりに逆転を許すも「自分たちの疲れも見えかけたのですが、去年よりも倍の練習量をこなしてきた自信がありました。そこをモチベーションにしてがんばってきたからこそ、今日は優勝できたと思っています」という努力が実を結んだ。
同じく2年生の #13 金近廉は、チームトップの15点と活躍。「インカレすべての試合がタフなゲームでした」というコメントが物語るように、大きな白鷗大学のインサイド陣をはじめ、身長差がある相手に対して体を張って守り続けてきた。一つひとつの勝利が金近にとっても自信となり、逆転されても「全然戦えるという雰囲気をチーム全員が持っていました。そういう競った展開になれば今年のチームは強いということは分かっていたので、全員が自信を持って最後までプレーした結果が勝ちにつながったと思います」と胸を張った。
大倉颯太(千葉ジェッツ)や八村阿連(群馬クレインサンダーズ)、佐土原遼(広島ドラゴンフライズ)、坂本聖芽(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)とB1に進んだ昨年の先輩たちと比較すれば、今年のチームは見劣りするのも否めない。さらに、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)も去ってしまったことでまわりの期待値も自ずと低くなっていった。しかし、劣勢な状況こそチームは強固なものになる。これまでもタレント揃いの東海大学だが、いつでもファミリーのようなチームワークこそが大きな武器だったことを再認識させられた。芯の部分がブレなかった東海大学が、頂点に立ったのも必然と言える。
中京大学と名古屋学院大学の東海勢がベスト8入りし、新時代突入の兆しが見られた今年のインカレ。下位チームがリーグ戦を行いながら勢いをつけてシード校に挑むハンディキャップ戦も、見ている側としては期待がふくらんだ。当事者にとっては、はじめて対戦するチームも多く、準備期間もないまま試合に臨まねばならず、気が気ではなかったようだ。来年はどんなドラマが待っているのか、はたまた番狂わせが起きるのか。新たな戦いへ向けてスタートが切られた。そして、Bリーグへ進む4年生たちはどこへ行くのか ── 新天地での発表が待ち遠しい季節がやって来た。
文・写真 泉誠一