失敗しても次があるオータムリーグであり、今年は26試合に増えた分だけ経験値を積み上げることができ、勝つチャンスも増える。「留学生や経験あるインサイド選手とマッチアップしたときに自分がリバウンドや高さで負けてしまえば、一気に不利になってしまいます。しっかりと体をぶつけたり、リバウンドで高く飛んだり、高さに対して負けないようにしていきたいです」という阿部は、神奈川大学のビッグマンとしての責任も芽生えはじめていた。
阿部とともに、先発で起用された#5 保坂晃毅は、コロナ禍で中止となってしまったが東海大学のハーパー ローレンス Jrや金近廉らとともに、2019年に幻の男子U16日本代表選手に選ばれた。神奈川大学においてその経歴は群を抜いており、期待される逸材である。#24 中島三千哉は、シューターとして東海大学からも警戒されていた。彼ら2年生たちがチームを突き上げ、自らの活躍で初勝利を勝ち獲る日が待ち遠しい。
幸嶋謙二監督は、先発メンバーを入れ替えながらオータムリーグを戦っている。勝利を目指すのは当然のことだが、同時に選手たちの将来を見据えて育成に力を入れているのも神奈川大学の特徴である。190cmの向は、パワーフォワードからスモールフォワードにポジションアップさせている。「まだ技術的に足りないことも多く、やっぱりゲームが壊れてしまいます。でも、それをしなければ選手のためになりません」という幸嶋監督の方針はこれまでも変わらない。第二の小酒部泰暉(アルバルク東京)の輩出をついつい期待してしまう。
2年生らにチャンスを与えているが、「やっぱり頼りになるのは4年生です」と3年間ともに築きあげてきたメンバーと幸嶋監督の信頼関係はやっぱり強い。「歴代最強で最高の神奈川大学」を作り上げるためのチャレンジは続く。オータムリーグは2巡目があり、相手のデータや経験を踏まえた上でリベンジする機会が待っている。後半戦はオセロのごとく、白星の結果に変えることだってできるはずだ。
文・写真 泉誠一