しかも1月の時点では、まだまだ線の細いイメージだったが、今やすっかりパワーフォワードの体形になっている。
何が驚いたって、その体形の変化だ。
太ったというのではない。
京都精華学園の留学生、イゾジェ・ウチェにも真っ向勝負し、ディフェンスでは2つのオフェンスファウルを導き出し、またペイントエリア外への押し出しもきっちりとやってみせた。
「今日の深津は十分すぎます。100%以上頑張ってくれました。献身的に、しっかり体を当てて、リバウンドも取りに行ってくれて、前に走って、オフェンスにもディフェンスにも、本当によくリバウンドにからんでくれて、ウチェ選手に対してもしっかり押し出して、こっちの言うことをすべてやってくれました。オフェンスについては『積極的にシュートを打って』とは言ったんですけど、それが決まらなくて、そこはまだ1年生かなと思います。でも私たちの作戦どおりに動いてくれたので、出し続けました。頑張ってもらいました」
それまで悔しい表情でゲームを振り返っていた長門コーチも、深津の話には少し笑顔になっていた。
むろん本人は負けたのだから笑顔になれるはずもない。
涙を浮かべながら「ディフェンスは最初から集中できていたんですけど、オフェンスにまったく絡むことができなくて、まだまだ自分の課題がいっぱいあるなって思いました」とゲームを振り返る。
よかったディフェンスに話を向けても、よかったのは前半だけで、後半は攻めるディフェンスができなかったと反省しきり。
オフェンスに至っては「1年生の中でひとりだけユニフォームを着させてもらって、3年生と2年生も着られてない方がいる中で、試合に出させてもらった。まだまだ足りないところが出てしまった」と、もはやオフェンスではない全体の感想になってしまった。
でも、だからこそ、今後に期待が持てる気もする。
自分の立ち位置をしっかりと理解し、しかしコートに立った以上はプレーヤーとしての責任を、学年に関係なく果たしたい。
そんな気概を、まだどこかに幼さが残る彼女から感じられたのである。
「今日負けたことをバネにして、外からも中からもいろんなプレーができる、相手にとって守りにくい選手になりたいと思います」
桜花学園の3年間ではまず、インサイドで負けない強さとうまさを身に着け、そこから徐々にアウトサイドへと活躍の場を広げていく。
桜花学園の王道のルートと言っていい。
その一歩をインターハイで踏み出した深津。
悔しさをにじませたインタビューを終え、最後に「体、大きくなったね。どうしたら、約7か月でこんなに大きくなれるの?」と聞いてみた。
すると、少しだけ笑顔になって、こう答えた。
「寮のご飯がおいしいので」
これからもしっかりご飯を食べて、ウインターカップはもちろん、これからの3年間も、その先も、もっともっと大きな選手へと成長してもらいたい。
文・写真 三上太