試合後、本人に話を聞いてみた。
まずは77-90で敗れた試合のこと。
「途中までは自分たちのバスケットが、完全にできたわけじゃないけど、いい流れでできていました。でもそれを継続できませんでした。点差を離されたときもやるべきことができず、点差を詰めることができませんでした。自分もいつもならもっと積極的にプレーできたと思うんですけど、負けている状況で周りに頼ってしまったので、もっと強気でプレーできたらよかったなと思いました」
朴訥だが、言葉によどみはない。
ならば気になったパスに話を向けてみよう。
すると多少なりと自負があるのか、「パスは周りをよく見られたので、そこはよかったと思います」と少し口角が上がり始める。
小4のころ、上級生には自分よりも大きい選手がいたから、ガードを務めていた。
それが今も息づいているのではないかと言う。
約27分の出場で7得点・0リバウンド・1アシスト。
プレーぶり同様、数字にも派手さはない。
しかし数字には表れないものを感じずにはいられない。
それはキャプテンの相原一生が「あいつ、能代市内の子なんです。ぜひ取り上げてください。あいつだけじゃなくて、今の2年はいいですよ。来年もいいチームになると思います」という言葉にも表れている。
今後の課題については、大髙本人もこう語っている。
「安定性がなくて、ミスが多いので、もっとドリブルスキルやパスのもらい方も考えて、ターンオーバーを少なくしなければいけないと思っています」
実直に答えた直後、こう繋いだ。
「あと、自分はもっと1対1のスキルを上げたいと思ったのと、相手の0番(実践学園・堀内星河)に簡単に抜かれたので、ディフェンスでももっとプレッシャーをかけながら、抜かれないようにしたいです」
その声のトーンが、安定性の話よりも一段階上だったのは、彼が今日の試合で強く感じ取ったものだったからだろう。
敗れてもなお、前向きに自分の課題をはっきりと言えるあたり、まだまだ彼は伸びそうな気がする。今冬はもちろんのこと、来年の能代科技の中心選手として、その名を覚えておきたい。
文・写真 三上太