コロナ禍によって中止や延期を余儀なくされた新人戦が、2019年6月以来となる今年3月にようやく開催され、大東文化大学が初優勝を飾った。すぐさま年度が変わり、2ヶ月も経たないうちに第71回スプリングトーナメント(関東大学バスケットボール選手権大会)を迎えた。新人戦ではキャプテンを務め、MVPを受賞した3年生の#4 菊地広人、2年生になった#21 富山仁貴は、新チームになった大東文化大学の先発を任されている。準々決勝の相手は、新人戦の決勝と同じく筑波大学と対戦。大東文化大学が幸先良く、開始5分ほどで15-3と大きくリードする。しかし、筑波大学は3ポイントシュートで対抗し、第1クォーターを終えた時点で23-22と1点差に詰め寄る。そこから激しい攻防が続いたが、後半には筑波大学が逆転し、大東文化大学が追いかける展開となった。
残り1分41秒、ファウルを受けながらも菊地が3ポイントシュートを決め、74-78。その1分後、ふたたび菊地の3ポイントシュートで78-78と同点に追いつく。しかし、菊地がこの試合から学んだことは悔しさとともに、課題しか残らなかった。
「最後に連続で3ポイントシュートを決めることはできましたが、前半から決め切れたシュートはもっとたくさんあったと思います。レイアップシュートやフリースローなど、自分が決めるべきところを決めていれば、3点差なので勝てた試合でした。自分の力不足を痛感しています」
3点を追う最後の場面、富山のところにボールがまわり、同点を狙ったシュートは惜しくもリングに弾かれてしまった。富山もまた、最後の場面ではなく、「相手が粘り強くディフェンスをしてきて、第3クォーターで自分たちのミスが目立ったことで点差を離されてしまいました」と述べ、流れを引き戻すことができなかったことが敗因である。富山は続けて、「もう一度ディフェンスの強度を上げなければいけなかったです」と述べ、自分たちの強みにもっとフォーカスしなければならなかった。試合は78-81で筑波大学に逆転負けを喫した。
新人戦ではキャプテンとして優勝へ導いた菊地は、「チームの状態が最初はそこまで良くなかったですが、試合毎に成長する姿を見られたことが一番うれしかったです。崩れる時間帯もありましたが、チームとして遂行できている時間帯がすごく長く、また後から出てくるメンバーもしっかり修正できていました。勝つために何をすれば良いかを知ることもできました」という成功体験ができた。それだけに、筑波大学戦で敗れたことに対し、「もっとチームでやるべきことを徹底しなければいけなかったです」とあらためて勝つために大事なことを気付かされた。
接戦を落とす悔しい結果ではあったが、「ディフェンスとシュートを決めることが自分の仕事。シュートを確率良く決めきること、そして大東のチームカラーであるディフェンスを自分が率先して引っ張っていけるようになりたい。絶対的なプレーヤーになって、4年生をしっかり支えていきたいです」と菊地は前を向く。この試合でも40分間フルコートディフェンスをし続けた大東文化大学であり、その最前線でハードワークしていた。最終戦となった5位決定戦の山梨学院大学戦では30点を挙げて勝利に貢献。合計14本を成功させ、3ポイントシュート王に輝いた。
2年生の富山にとっては、ディフェンディングチャンピオンとして、6月6日より本戦がはじまる「第62回関東大学バスケットボール新人戦」にふたたび挑む。「全部の大会で優勝することを目標に掲げていました。それはもう叶わないですが、やっぱりインカレ優勝が一番の目標なので、そこへ向けてもう一度チームを創り上げていきたいです」と気持ちを切り替るとともに、チームを勢いづけるためにも狙うは2連覇だ。
文・写真 泉誠一