「絶対に卒業するまでに優勝する」とラストチャンスに懸けたブラ グロリダ
東海大学は#11 大倉颯太や#5 河村勇輝をはじめとした高校時代から名を馳せてきたスター軍団であり、すでに特別指定選手としてBリーグで活躍する選手も多い。メディアの注目度も高く、東海大学ベンチ側の撮影エリアはあっという間に埋まってしまうほどだった。
白鷗大学も、素晴らしいディフェンス力を誇る強豪である。だが、誰がすごいのか ── となると、何度も試合を見ているのになかなかパッと選手が浮かばない。選手の経歴を見れば、高校までは無名選手も少なくはない。記者会見で華のない地味な印象があるという質問が飛ぶと、網野監督もどうしたら良いのか…試合以外のことで頭を悩ます。大東文化大学の西尾吉弘監督曰く、「監督が目立ちすぎる」というのも一理ある。日本代表キャプテンであり、白鷗大学のある栃木県が誇るブレックスで活躍した光り輝く経歴により、選手たちが影に隠れてしまっているのかもしれない。
準決勝後に用意された記者会見場に現れた4チームの中で唯一、「うわっ、いっぱいいる」と怯んでいたのも白鷗大学だった。初々しさが残る選手たちに対し、「キミたちもそこそこだよ」と網野監督は自信を持たせる。しかし、その状況やこれまで苦しんできたことが、選手たちの内に秘めた闘志に火をつけていた。
宇都宮短大附高校出身の小室は、無名選手が多いと言われることに対し、「スター軍団に勝ってやろうという気持ちを一人ひとりが持っていました。それがひとつのモチベーションにもなっていました」と力を込める。角田は「一昨年からゲームに出させてもらい、インカレも経験してきましたが、2年間とも不甲斐ないプレーでした。その悔しさを晴らしたい気持ちがあったとともに、負けた先輩たちの分まで絶対に優勝したいという気持ちを出し、それが結果につながったので良かったです」と言えば、松下も2年次に優勝した関東大学トーナメントでベンチメンバーに入れなかった悔しさを糧に、「優勝できたことは僕自身にとって自信になっています」とそれぞれが熱い思いを持って戦っていた。
一昨年前は4位、昨年は3位と一つずつインカレの順位を上げて実績を積んできたからこそ、「絶対に卒業するまでに優勝すると決めていました」というのはラストチャンスとなる4年のブラだった。